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2021年10月11日 (月)

執筆を続けて

ライターの先輩である寺倉力さんにインタビューを受けるのは、2度目だった。
前回は、『PEAKS』に寺倉さんが連載している「Because it is there」。

その依頼を、Messengerで受けたのは、友人達が働く七丈小屋を手伝っているときだった。
朝のひと仕事を終えて、厨房の片隅でお茶を飲んでいるとき、依頼を読み思わず、「既読スルーしたいわ」と呟いた。
「何かを成し遂げたでもない、中途半端な人間をインタビューしても、どうにもならないよね……」と言うと、隣でヅメさんが、「インタビューしたいかどうかは、相手の問題。そういうのは受けて、ただ聞かれたことを答えればいいんだよ」と。

なるほど、確かにそういうものかもしれない。
自分のことはさておき、私とて、何かを成し遂げた人をインタビューしたいわけではない。

それから2年あまり。今度は、『PEAKS』の妹分である『ランドネ』の連載「だから、私は山へ行く」だった。
初めてご一緒する編集者からの依頼であり、寺倉さんがライティングを担当することになった。
夏の頃。掲載誌はとうに書店から姿を消していますが、webで読むことができます。
コチラ→

インタビューの数日後、この仕事を続けてきてよかったと思ったことがあった。
13年前の冬、富士山で亡くなったカメラマンの宇佐美栄一さんの妻である直子さんと、お話する機会がもてた。

私は、宇佐美さんのことを今でも時どき思い出す。
春の北穂高岳、厳冬の赤岳、最後の仕事になった葉山の里山の帰りによったイチゴ畑、打ち合わせのために初めて会った新宿の喫茶店。正月の八ヶ岳から下山して食べた焼肉。
そうだ、そのあとに中央線に電気系統のトラブルが発生し、私たちは長時間、特急あずさに閉じ込められたんだった。
暖房が効かなくなり、湿った山の防寒着を着こんだ。おにぎりが配られたけれど腹は減り、あまった行動食をボリボリ食べていた。
宇佐美さんは、カメラマン根性を出し、彼方此方歩き回って、トラブルの模様を写真に撮っていた。当時は、フィルムの時代。編集部から渡されたロールに余りがあったのか、自分の手持ちがあったのかわからないが、いったい何枚撮ったのだろう。

現場で、意見が食い違い言い争いになったこともあった。
けれど、いま考えれば、ぜんぶ宇佐美さんが正しかった。

遭難を聞き、祭壇に会いに行ったとき、まさか自分が泣き崩れると思っていなかった。
隣にいたある登山家に、「柏さんは、うさちゃんといちばん親しかったからね」と言われ、そうかなあ?とも思った。
同世代であるけれど、10代後半から山やクライミングの写真を撮り続けてきた宇佐美さんは、先輩のように思っていたし、彼には仲間が大勢いた。

直子さんは、宇佐美さんが私のことをどんなふうに話していたか、教えてくださった。
まったく意外で、泣けてきた。
もっと私は、がんばれなかったのか、もっとできたんじゃないかとも思った。
そんな折、神長幹雄さんが書いた『未完の巡礼』に、宇佐美さんが撮った、登山家・小西政継さんのポートレートが載っていて、目に留まった。
晩年の小西さんが、哀しいほどせつない表情をして写っていた。計算するに、宇佐美さんが30そこそこで撮ったもの。その若さで、こんな表情をとらえるなんて、と驚いた。
もっと、宇佐美さんと仕事がしたかったよ。

最近の仕事は、けっこうしんどく、孤独な時間が続くけれど、宇佐美さんに愛想を尽かされないように踏ん張らないと。

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2021年9月 6日 (月)

北アルプス・笠ヶ岳@わくわく山歩き

今日の毎日新聞朝刊「わくわく山歩き」は、北アルプス南部に位置する岐阜県の最高峰、笠ヶ岳です(長野県との境にある奥穂高岳の方が標高は高いですが、県境を除いたところの県内の山となると、笠ヶ岳)。
掲載の写真は、前回紹介した薬師岳と笠ヶ岳を眺めることができる天国のような場所から。
よかったら、キオスクやコンビニでお買い求めください。
webはコチラです(有料)。→コチラ

 

笠ヶ岳の山の姿について書きましたが、笠ヶ岳からの眺めも素晴らしいです。蒲田川の向こうにそびえる北穂高岳からは、初氷の便りもありました。季節が進んでいきます。

 

文中にある「プロフィル」。毎日新聞ではこのように表記すると、校正・校閲部からアカが入りました。
「プロフィール」「プロファイル」を使ってきたけれど、「プロフィル」は初めての経験です。

 

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2021年8月17日 (火)

登山中の心疾患と脳卒中@『岳人』9月号

『岳人』9月号・特集は「登山の効用」。
登山に効用を求めたことはないけれど、長く楽しめるようにという意図のようです。

「登山中の心疾患と脳卒中」という記事を書き、伊藤 岳 医師に監修いただきました。
コロナ医療の最前線にいらっしゃるなか、大変なときに、ありがとうございました。
伊藤医師は、兵庫県立加古川医療センター救急救命室に勤務する救急医です。
日本山岳ガイド協会のファーストエイド委員会委員長でもあり、私達ガイドは、伊藤医師をはじめとした3人の医師たちから登山中の救急法や登山に関連する病態やケガなどを学びます。
彼らのお人柄もあるのでしょうが、私達ガイドにとって、とっても親しみやすく、ことある毎に相談を投げかける方々でもあるのです。
数年前には、好日山荘で連続開催していた伊藤医師による登山者向けの講習会にも、参加したことがありました。ちょうど、「登山中の突然死」というテーマでした。
そんなご縁をいただき、今回、監修をお願いしました。

登山中の突然死について本を書いたことがありますが、様々な制約がある雑誌で4ページにまとめるのはなかなか難しい作業です。
伊藤医師が、「病状は経時的に悪化するかもしれない、ということを考えると、何らかの身体症状を抱えながら、より山の深部に入っていくことはリスクを高める行為であると、ごく一般的なこととして認識してほしい」というような話をされていたのが、印象的でした。
”北アルプス深奥の診療所”の運営に深くコミットし、八ヶ岳など幾つもの山中の診療所にも関わってきた方らしい発言でした。
ぜひ、お読みください。

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光岳と遠山郷での取り組み@『山と溪谷』

8/12発売の『山と溪谷』9月号に、南信州山岳文化伝統の会の取り組みを、カラー6ページにわたって紹介しました。
登山家の大蔵喜福さんと、他県に先駆け「信州山のグレーディング」を作った時の立役者・原一樹さんらが中心となり、山麓の遠山郷に残る歴史といま、そしてそれを光岳登山へとつなげる話。

コロナでネガティブな話題が多いなか、ふと目をやると、山の大先輩の大蔵さんは、そんなことをものともせず、南アルプス南端で活動されていることを知り、その内容が、登山の根源に関わるようなことでもあり、とても共感したので取材を申し込みました。
これらの取り組みは、コロナを見据えてのことかと思いきや、それ以前に別の観点から考えていたというのも、驚き出下。
ファムトリップの様子、面平に作ったキャンプ場、遠山森林鉄道跡のトレイル、光岳への道のり、大蔵さんのインタビューなど、ぜひご覧ください。

南信州山岳文化伝統の会の大蔵 喜福 さん、原一樹 さん、八幡秀彦 さん、平澤 健 さん、Billy Kodamax さんにお出迎えいただきました。
写真は、 杉村航 さん。
ほか、ファムトリップ参加の皆さん、環境省南アルプス自然保護管事務所の皆さんにお世話になりました。
ありがとうございました。

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2021年7月26日 (月)

これからの山小屋泊@ランドネ

『ランドネ』(7/20発売)の特集は、「これからの山小屋泊」。前を向いたタイトルです。
3本記事を書きました。
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ⅰ)
1年の歳月を経て、今年開山した富士山のこと。太子館と元祖七合目には、開山前後のお忙しい時に話を聞かせてもらいました。
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ⅱ)
team KOIで始めた山小屋訪問2年目の様子を書きました。
私たちの活動について、そして1年ぶりに訪れたオーレン小屋が、見違えるほど元気になり、前進していたことなど。
昨夏に下山した先代のおやじさんも、再び山に上がってくるようになったそうです。脈々と受け継がれるオーレン小屋の物語をぜひ読んでいただきたいです。
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ⅲ)
山小屋訪問の中心人物、医師の稲垣泰斗さんに監修してもらい、「これからの山で登山者ができること」。泰斗さんの助言により、シーン別のコロナ対策、これまでの知見を基にしたポイントを、わかりやすく紹介できたと思います。
どうぞ、参考にしてください。
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山小屋訪問から学ぶことは、たくさんあります。
本文に書いたことなので、詳しくここに書きませんが、山小屋の事業者とともに、医師を含むteam KOIのメンバーと、感染予防対策の落としどころを探る作業には、たくさんの発見があります。
かねてから、事業者、登山者、さらには山岳関係団体、地元住民、行政、学術などの専門家が力を合わせた取り組みこそが重要と考えていたので、小規模な取り組みであろうが、このような機会を与えてもらっていることに感謝しています。
それは、10年近く前に知った北海道の山守隊の活動も大きなヒントになっています。この春に山守隊の下條さんに、そんなことをお礼かねてお話しました。

 

私たちの訪問を受け入れてくださっている皆さん、あらためましてありがとうございます。

 

*ランドネ 
*太子館 
*元祖七合目 
*オーレン小屋  
*team KOI 
*稲垣泰斗  + 

 

 

2021年6月16日 (水)

『あの人の山道具』

本日発売の『あの人の山道具』(男の隠れ家別冊)で、ご紹介いただきました。
掲載誌が届きページをめくったら、15人全員友人先輩・今日も明日もご一緒する仕事仲間だったという……なんと。SNSでタグ付けしちゃいたくなるような。

 

ほかに、登山SHOPやブランドのスタッフ達の愛用品もありました。
よかったら、どうぞご覧ください。

 

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田部井淳子さん@BE-PAL

小さい記事です。
発売中の『BE-PAL』の「LEGEND OF LEGEND'S CAMP」にて、田部井淳子さんについて短文を書きました。
エベレストBCのメステンの写真とともに、いかに彼女が「食べさせたがり屋」だったか。

あるとき、カシオ展示会にプロトレックアンバサダー達が集まることがあり、富山の山から駆け付けた私は、行動食に重宝していた泊・木村豆菓子店の「ぜいたく豆」を用意し、アンバサダーの友人達に「これ、美味しいの」って手渡していたら。
そのひとりの竹内洋岳さんが、「柏さんさあ、まるで田部井さんみたいだよねー」と。
私にとっては最高の賛辞でした。

色んな方のいろんなキャンプが載っている一冊です。

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2021年5月24日 (月)

鳥海山@毎日新聞わくわく山歩き

5月17日の毎日新聞朝刊「わくわく山歩き」では、鳥海山を取り上げました。
webでもご覧いただけます(有料)。
https://mainichi.jp/articles/20210517/ddm/013/070/034000c

鳥海山は、情景が目に浮かぶ山だと思います。登っているときも、滑っているときも、下山後に仰ぎ見るときも。その山姿も鳥海山を取り巻く景色も、それからそこにいる自分の心情も。
だから、「鳥海山の歌」に歌われたのかなあと思ったりしますが、なによりも、地元から愛されている山。
高校山岳部の顧問だった池田正明先生の故郷の山、おらが山でもありました。

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2021年4月16日 (金)

21年ぶりのインタビュー

昨日、21年ぶりに雨宮節さんをインタビューした。東京雲稜会であり、イエティ同人の雨宮さん。
雨宮さんにインタビューを、と思い立ったのは、『日本登山体系』を読み直していたときのことだった。
長い年月が経ち、こうやってまたご一緒できたことが、なによりも嬉しかった。
21年前、雨宮さんがチョ•オユーにスキーを持って向かうというその前に、インタビューした記事を今朝やっと見つけて、読み直しインタビューに臨んだ。

 

この日、雨宮さんのあとは、初対面の林恭子さんをインタビューした。

 

先月は、インタビューに限ればこれまた20年ぶりぐらいである、友人の柴崎佳苗さんと脇坂麻衣子さんを。
初回は佳苗ちゃんと麻衣ちゃんと3人で。各々の飲み物を持ってzoomの前に集合。まるで、飲み会のようだった。私達を知っている方々であれば、その様子が目に浮かび、笑うと思う。後日、ふたりそれぞれを再度インタビューした。

 

執筆先も内容もそれぞれだし、雨宮さん、林さん、佳苗ちゃんに麻衣ちゃん、年代も志した山もそれぞれだけれど、 4人が全く同じ話をしたことが印象的だった。
それは、富山の登山家である酒井秀光さんが、ある結婚式で述べた祝辞「幸せは求めるものではなく、感じるもの」にも、通ずること。
こんなことがあるから、この仕事がやめられない。

 

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2021年4月 1日 (木)

ヤマケイ新書『ドキュメント 山小屋とコロナ禍』 お詫びと訂正

先々月発売になった『ドキュメント 山小屋とコロナ禍』に、team KOIと私個人で50ページ以上書いております。
年明けに見本が届いてすぐに気づいたことですが、修正依頼をした箇所のなかに、正されていないところが多数ありました。
版元に問い合わせ、その経緯などは説明を受けましたが、まるまる1章修正がされていないこともあり、合計70ヶ所ほどに及びます。

3ヶ月もかかりましたが、本日、山と溪谷社のwebに「お詫びと訂正」が掲載されました。
http://www.yamakei.co.jp/products/2820510680.html

冒頭に「主な訂正箇所を、以下に列記します」とありますが、これ以外の間違いが重要ではないということは、まったくなく、どれも関係者および読者の皆さんにたいへん失礼なことです。
また、数が多く、とても読みづらいです。

書き手としても非常に悔しく、痛恨の書籍になりました。
関係の皆さんへのお詫びは、年明けから重ねておりますが、読者の皆さんにも大変心苦しく、お詫び申し上げます。


なお、上記の件が未解決だったため、本ブログでは本書の紹介をひかえておりました。
以下で、紹介しております。
facebook(本日から全体公開) →コチラ
team KOI note →コチラ

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