『山と溪谷』2024年4月号~「凪の人 山野井妙子」連載開始
随分時間が経ってしまいましたが、『山と溪谷』2024年4月号(3/15発売)から、「凪の人 山野井妙子」という連載を始めました。
1号ずつ紹介の文を載せていきます。
本日発売の『山と溪谷』4月号より「凪の人ー山野井妙子」の連載を始めました。
登山家・山野井妙子さんの半生です。初回は、彼女のいま。
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編集は神谷浩之さん。これまでも幾つもの連載や記事、書籍『彼女たちの山』を編集してもらいました。
妙子さんの本を作りたいと言ったのは神谷さん。
妙子さんは固辞していて、1年位かけて話し合うかと覚悟したけれど、それよりはずっと早くに承諾いただきました。
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それは、伊豆の山野井邸に初めて神谷さんを伴って行った日。
話は平行線のまま、海釣りや裏山に行ったけれど、私は意を決して、妙子さんの前で神谷さんにある質問をしました。その時の彼の回答=彼の本心が、妙子さんを動かしたのか。
真相はわかりません。
来客が多い家です。夫の泰史さんは気遣いの人で場を盛り上げようとするし、とくに仕事だとあの家の空気は確実に変わります。
もちろん、私がいるときと二人だけの時も違うと思います。
けれど、神谷さんが来たとき、ほとんど空気が変わらなかった。これならば、この先も神谷さんと一緒に取材ができると確信しました。
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初回の写真は、亀田正人さん。亀田さんにお願いしたいと神谷さんに頼みました。あがってきた写真には、妙子さんのいつもの笑顔があって、泰史さんの妙子さんを見つめる優しいまなざしがあって、泣けてきました。亀田さんに撮ってもらって本当によかったです。
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タイトルの「凪の人」は、私がアイディアを出しました。幾つかの候補はどれも納得できず、ギリギリまで考えさせてもらい、「凪」という言葉に至りました。
伊豆半島に住む妙子邸に行くとき、私はいつも海岸沿いに車を走らせていきます。家の居間からも海が見えます。裏山に登ると海が広がっています。凪いでいるときも、そうではないときもあるけれど、凪いだ日の海はことさら美しいです。
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取材を承諾いただいた日、泰史さんとふたりきりで話す時間があり、その時彼から言われたことを胸にしまい、忘れずに、この連載を続けていきたいと思います。
よかったら、読んでください。
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*写真は先月末に訪問したとき。庭の河津桜が葉桜となり、木蓮がひとつ花をつけていました。
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