tibet

2017年11月20日 (月)

人間の品格と知性、『ラモツォ亡命ノート』

毎夏キャンプでご一緒する在日チベット人たちは、日本の山を一緒に歩くと、「故郷の山を思い出す」と言ってくれる。それは、草原に弁当を持っていき食べて歌って踊る、あのチベット人が大好きな時間や、夏のピクニック、川で遊ぶこと……だけでなく、「ヒマラヤを越えた」あの日を思い出すと。そんなことを言ってくれる度に、私は返す言葉が見つからず、いつも黙り込んでしまう。
 
今日、私が向かった山は、雲はちょっと多かったけれど晴れた空で、樹木を抜けると冷たい風が強かった。しかし下の方は紅葉は見事で、穏やかだった。ちょっとだけ重たい荷物を背負いながら、そんな道のりをアプローチしているとき、毎夏を共有するチベット人たちのことを思い出していた。
それは、夜、映画『ラモツォの亡命ノート』を見に行こうと予定していたこともある。
 
映画が終わり、ラモツォと監督の小川真利枝さんがトークをした。ラモツォのアムド語を通訳してくれたのは、同郷のソナム・ツェリン。久しぶりに会えた。
そのラモツォの話すことを聞き、彼女がもつ品格や知性というものが、どこに由来するのか思い知った。
 
私はかねてから、いつも考えていることがふたつあった。
ひとつは、人間のもつ品格や知性についてだ。これまで多く接してきたチベット人やネパール人のなかには、境遇や経済的に恵まれず教育も受けられず、けっしていい環境とはいいがたいところに育ちながらも、気高い品格と、そして豊かな知性を持ち合わせている人たちと多く出会ってきたことだ。
そういったものは、生まれながらにしてもった性質だけでなく、後天的な環境にも影響を受けると思っていたが、いったい彼らはどうやってそういったものを養ってきたのか、と。
 
もうひとつは、チベット人たちの信じる心の強さだ。
9月に日本にやってきたインド人の知り合いから言われたある一言を、私は友人に話した。すると彼女は、「そのことを、柏さんが強く信じることができれば、それは現実となるんだろうね」と言った。そういえば、彼女は姿勢が美しく、強くものを信じることができる人だ。
チベット人の、ときとして涙が出そうになるほどの信じる心の強さは、いったいどこからやってくるのだろう、ということだ。
そして、そんなしなやかに強い心を持っているためか、逆境にあってもよく笑い、よく冗談を言う。そんな場面は、今回の映画にも出てきた。政治犯にされ投獄されるラモツォの夫が、笑い飛ばすように話す数々を、泣きながら笑った。
 
ラモツォは、1972年、アムドに生まれた。
このことを聞けば、彼女の半生がどんなであったか、想像する手助けになるだろうか。
 
知人でもある真利枝さんが撮った『ラモツォの亡命ノート』も素晴らしかったが、このことに関心があり、そしてもし都合がつくのであれば、彼女の肉声をぜったいに聞くべきだ。
映画上映後、来日中のラモツォが出演するアフタートークは、20日(月)20時が最後。東京・ポレポレ東中野にて。
 
そして、私の今晩の寝床の音楽は浜田真理子さんの「Hallelujah」
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