mountaineering

2018年4月19日 (木)

ギアの開発

春から秋にかけての仕事の打ち合わせで、あるギアの輸入代理店へ。
仕事のお付き合いは長く、駆け出しの頃から、ことあるごとに。
 
約8年前に発想があったというギアについて、当時のベースとなったモデルを拝見し、それから海外にあるメーカー本社とのやり取りのメールや、当時の資料をみせてもらってきた。
 
ベースとなったモデルは、クライマーが1シーズン使ったもので、その使い込み方に、人となりが現れているような気すらしてくる。
それにしても、本社とのやり取りが頻繁で丁寧。
こんな風に、クライマーの考えをフィードバックし、形にしてくれるメーカーがあるのかと、驚いた。
日本の担当者もイラストを描いたり、言葉で表現したり、あれこれ工夫を重ねながら、改良してほしい点を示したり、また使うクライマーの生い立ちやどんな志向にあるのかを、伝えている。
 
人が使うものだから、人があってこそ。
 
帰路、この会社に来たら、いつも立ち寄る文房具屋さんへ。
「おもちゃも作ったんで、遊んでいってやってくださいね」と言われ、このネコのInstagramができたことも、教えてもらった。
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2018年4月13日 (金)

「女性の登山指導者にまつわること」@『登山研修』

『登山研修』(国立登山研修所)の「創立50周年特集」に、「女性の登山指導者にまつわること」を書きました。
いただいたお題は「女性登山指導者の養成に関しての展望」。力不足ゆえとても書けず、上記内容に変更しました。展望については、長年研修所の講師を務めていらっしゃる高野由美子さんがお書きになっています。

周囲の女性の登山ガイド、クライミングインストラクター、クライマー、オーシャンアスリート、そして男性のガイドの方々にも助言いただきましたが、結局のところ、当たり前のことを回りくどくしか書けませんでした。

 

原稿に書いた大学山岳部に入部したときの主将は、斉藤尚之さんという方ですが、私は尚之さんのようなフラットな先輩に出会え、とても恵まれています。

女性の登山者、指導者にとって、同性の仲間や先輩ももちろん大切ですが、同時にフラットな視線でいてくれる男性の存在は、とても心強いと思います。

そして、性別問わず、人間がつねにフラットな視線でいられるということは、じつは結構難しいことなのではないかと、最近思います。

フラットな視線はガイドにも指導者にも重要なことですが、それを保つには努力が要ります。

 また、医学的、運動生理学的面については、今後さらなる専門性が求められると思います。

文中でフランスの女性ガイドの事情について簡単に触れていますが、この春、シャモニーからグリンデルへと旅した途次、お会いした女性の山岳ガイドさんから、最近のオーストリアの女性ガイドの事情をお聞きする機会があり、とても興味深かったです。

ご協力いただいた皆さん、ありがとうございました。

 

冊子は、今後、研修所のwebサイトで読めるようになりますがまだもう少し先。

今回は……文中に書いた、オーシャンアスリート、岡崎友子さんの印象的なインタビュー「海で生きるために、私が選択してきたこと」をご紹介します。→コチラ

友子さんとのお付き合いは長くなりますが、このインタビューのある一節を読んで、今回のテーマに大きなインスピレーションをいただきました。 

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2018年2月18日 (日)

山書

ガイドに来てくださっているMさんが、facebookに、山口耀久さんの『北八ッ彷徨』を紹介していた。ある山小屋の方から勧められて、手に取ったと。
「私も、この本が好きです」とコメントすると、澄子さんはなんでも知っている、山の本をなんでも読んでいるようだ、というような返信をいただき、恥ずかしくなった。
 
私は知らないことだらけだし、山の本もちっとも読んでいない。ほんとうに読んでいる人たちを大勢知っている。それにじつは、積読も好きだったりする。
 
けれど、私の世代の少し上の先輩たちは、山口耀久さんをクライマーとして憧れただろうし、私自身も先輩たちの影響で、そんな文章も読んだ。そして、文芸的な面でもたいへんな恩恵をいただき、彼のおかげで、私たちは山の良書、よい文章をたくさん読む機会を得たのだ。『アルプ』しかり。
ちょっとだけ長く山をやっているだけで、そういうことがほんのちょっとだけあるだけ、たったそれだけのことだ。
 
今回、Mさんのfacebookの写真を見て、平凡社の定本のボックスに掲げられた文字は、深い緑色の活版で刷られたものであり、その緑色が北八ヶ岳のコメツガの色そのものであることを、あらためて知った。書名と著者名のあいだに、コメツガの針葉と松ぼっくりの絵も添えられている。
著者も素晴らしいが、これは装丁家の仕事も素晴らしいと思った。
そして、本棚から山口耀久さんの著書を取り出してみようと思い立った。
 
そんなきっかけを作ってくれたMさんに、感謝するのは私の方であり、良書は時を越えて、登山者たちの手に渡るのだろうなあと思った。
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2018年2月16日 (金)

山のガイド

先日、友人でもある山岳ガイドと、クライミングに行く機会があった。
仕事上、ガイドと山に登ることもある。しかしその目的の大半は、安全管理であり、そのなかで私たちが取材をしたり、撮影をしたりするというもの。
山岳ガイドの友人、仕事仲間と山に行くことも少なくない。が、それはガイドとクライアントではなく、仲間同士の登山、クライミング。
しかし、今回はちがった。
 
クライアントとしてガイドと一緒に登ったのは、初めての経験。そのガイドが、彼でほんとうによかった。ひょいっと降ってきたような機会だったけれど、貴重な時間となった。
 
色んなことを考え、感じることができた。
たとえば、リスクマネジメントについてどのように考えているのか。わざわざ語るわけではないが、一緒になったパーティとの接し方や装備の扱い方、アンカーの取り方、そのほかすべての言動から、それは知ることができる。
それらは、私が山に登る者として、具体的な学びがあるだけでなく、考え方も含めて今後の指針となる。
 
あるいは、山への取り組み方。
これまで仕事でもプライベートでも色んな場面をご一緒させてもらってきて、十分わかっていただろう、その姿勢を、登る場面でまざまざと感じることができるのは、幸せな機会なのだと思う。
クライミングだけでなく、アプローチもあわせた登山全体のなかでの、彼自身の動きを見て、言葉を聞くと、これまで辿ってきた道がうかがい知れるようであり、そしてまた、どんな山を、クライミングを志向してきたかが、強くわかる。
私も大好きな、共感できるセンス、憧れる志向性。
 
以前、山岳ガイド達をインタビューする連載をしたことがあった。
あるガイドをインタビューしたとき、たまたま彼のクライアントのなかに友人がいたので、「いったい、どんなガイディングをするの? どこが魅力なの?」と尋ねたことがあった。ガイドの彼も親しい友人であるが、友人がガイドをする姿を見たことがなかったので、いったいどんな顔をしているのか、知りたかったからだ。
クライアントに尋ねたことを、本人に言わないのもフェアじゃないと思い、報告もした。
そのとき、「アルピニストと一緒に登ることができる、幸せ」というような表現を、クライアントの彼女が使って話してくれた。「アルピニストと登る? そんな感覚になるの? どういう意味かなあ」と再び尋ねると、「ほんとうに山が好きなんだと、感じることができる」ともう一度説明してくれた。
 
その人が、「ほんとうに」山が好きで、そして自分のスタイル、志向をもっていて、それを感じ取ることができる、そんなガイドと登れたら、それは極上の経験となるだろうと、私も今回、実感できた。
 
私自身は、無雪期を中心にハイキングのガイドをするが、はたして、自分がもっている山の世界観を、お越しいただく方々に、感じとってもらうことができているのか、人に感じてもらえるほどのスタイルや志向を持っているのか、ということも考えた。そういうものがあるのが、いいガイドなのではないか、と。
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2018年2月11日 (日)

音楽、文学、友人

稜線が轟々と烈風吹きすさび、樹林帯に入ってくると、ほっと生き返ったような。
そんな山から逃げ帰り、ひとりでドライブしながら、音楽を聴く。
アルバムを選びながら、最近、ある友人と好む音楽が重なっているねと、ふたりで互いにそんな話をしたことを、思い出した。
女性歌手でいえば、ジョニー・ミッチェル、リッキー・リー・ジョーンズ、矢野顕子。私はそれに加えて、キャロル・キングにローラ・フィジィ、アナリス・モリセット、浜田真理子かな。
 
先週の山は、その彼女が運転する車で帰ってきた。
桑田佳祐が流れていて、私より少し若い友人が「若い頃は、この人の歌、ダメだったんだよね。最近、好きになった」と言う。サザンはいいけれど、桑田の歌は苦手だったと。
甘くも男っぽい桑田佳祐の声を聴きながら、「優しい歌なんじゃないかな」と、思わず言葉が出た。「そうか、優しいのか」と友人。「今まで、当たり前のわかりやすい優しさしか、気づかなかったよ」と。なんというタイトルのアルバムだったかわからなかったけれど、桑田の歌は、まぎれもなく優しかった。
 
寝る前に、ベッドの中で本を読む。『冷蔵庫の上の人生』。この本を勧めてくれた友人は、学生時代をバークレーで過ごした。英語の原作を読んだと。私は、迷うことなく日本語訳を手に取った。
なかなか、私にとっては辛い内容だけれど、そこにも優しさがあった。
 
気づかなかった優しさ。
ものすごく辛いときや悲しいときに、言葉をかけてくれた人たちのことを、人は忘れない。
その言葉ひとつひとつも、そのときのシーンも、声の色も、相手の表情も忘れない。
そんななかに、気づかなかった優しさがあったことに、ようやく気付いた。
 
「柏さんが、これ以上無駄な人生を送らないことに、乾杯」。
びっくりする言葉。え? 私の今までの人生は、無駄だったのか? ちょっと解せない言葉に、しばし考えこみ、その後も時あるごとに考えこんだ。
それが先日、あるひょんなことがきっかけで、「ああ、ひょっとしたら、ああいう意味だったのかもしれない」と思い至った。ま、今回の理解もあっているのかは、わからないし、何よりも言葉を発した当人はもう覚えていないことだろうけれど。
それでも、人の優しさは、いろんなところにある。
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2018年2月 2日 (金)

平出和也さん SUUNTOインタビュー

登山家・映像カメラマンの平出和也さんをインタビューし、スウェーデンの時計メーカーSUUNTOのwebサイトに掲載していただいた。

平出さんは、SUUNTOという時計との出会い、山のなかで、旅先で時計とどんな付き合いをしているか。そしてこの夏のトライについても語ってくれた

彼と知り合って15年以上経つけれど、昨年は平出さんを3回インタビューする機会に恵まれた。
昨年2月、冬の八ヶ岳で久しぶりに会って一緒に登ったとき、なんて潔い人なんだろうと思った。成長、変容、成熟していく姿を、時を経て書かせてもらえることは、まったくライター冥利に尽きる。
 

記事内の写真は、平出さんのクライミングパートナーでもある 中島 健郎 さんが撮影。
以下は取材の一コマ、私が撮った写真。

SUUNTOのインタビューは
ひとつ前のインタビュー「15年目、4度目の夏、シスパーレ北東壁初登攀」については、

もうひとつ前のインタビュー「人はなぜ山に登るのか、山と対峙する試み」は、

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2018年1月 4日 (木)

「ファーストエイド」@ランドネ2月号

12/22発売『ランドネ』2月号(枻出版)に、野外救急法について書きました。付録がエマージェンシーシートの号であり、「山登りの基本キーワード20」という特集のなかです。
なぜ、山登りに野外における救急法の知識が必要なのか、その入り口を紹介しています。入り口といっても、6ページにわたり、内容も本格的に。
 
監修はウィルダネス メディカル アソシエーツ ジャパン(WMAJ)。医師や看護師、救急救命士など医療従事者、野外医療、野外救急の専門家たちから構成される、野外救急法の講習を行なっている団体です。
なお、『ランドネ』では、2月に読者向けの野外救急法講習を、WMAJのインストラクターを招いてい開催。詳細は、後日ランドネブログにて。
 
ランドネブログ → 
WMAJ  
・スタッフ顔ぶれ  
・『ランドネ』記事について 
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2017年12月28日 (木)

凍てついた窓

山小屋で、同業の同性の数少ない先輩が、「12月は辛いね。去年も一昨年も辛かったね」と言った。そうだった、たしかにそうだった。私自身も辛くて、やっと年を越した思いだった。
そして彼女は、もう一言、8年前の12月の話も始めた。
ある方が、河口湖の夜景の写真をfacebookに載せていたので、思い出したと。

山で喪った友人のことは、なにかの折に思い出すことはあるけれど、だんだんとその悲しみは、悲しいかな薄れていく。いまでもどこかで生きているような気さえしてくるときもある。
それが常なのに、昨日はなんだかものすごく悲しくなった。

8年前の12月に仕事仲間が、河口湖の夜景は見えなかっただろう吹雪の日に、富士山で死亡した。
その彼とは、八ヶ岳で年越しをしたこともあった。こんな風に山小屋の窓ガラスが凍てついた日で、なぜか私は窓ガラスにコツンと顔をぶつけて、眼鏡のフレームを折ってしまった。稜線は厳しい風が吹ていたなあとか、雪と岩の冷たい壁を登ったなあとか、思い出した。
帰路のあずさが電気系統の故障で何時間も止まり、車内に閉じ込められたなあというようなことも、思い出した。私たちは、行動食のあまりも、ちょっと湿った防寒着も持っていたから、平気だったけれど、ほか乗客たちは空腹と寒さに苦情を訴えていた。

GWの穂高の稜線ではケンカもしたなあ。
いまごろ、どこで何をしているのか。

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2017年12月12日 (火)

最後の紅葉

日曜日、所属するFRCCという山岳会の月例山歩きで、本厚木にある里山を登ってきた。
広葉樹の森が広がり、尾根道を歩いて、とっても山らしい山だった。
 
大方の葉が落葉し、陽だまりのある明るい森になっていた。登山道に落ちる枯れ葉を踏みしめながら歩くと、乾いた音がして気持ちがいい。ときどき、赤や黄色の葉が残るカエデの樹があった。
 
今年は、近年には珍しく秋のあいだずっと日本にいたので(いることになったので)、紅葉の山をじっくり楽しめるだろうと思っていたけれど、なかなかそうもいかなかった。それでも、冷たい雨に濡れた色づきの山、クライミングのアプローチで眺めたオータムカラーなど、心に残る秋の山がいくつかあった。
そして、これが、今年最後の紅葉の山かな。
 
あらためて、今年のFRCCの月例山行に何度参加できたか、数えてみたところ、13回中(8月は2回)8回だった。それと7月のアメリカ。来年はもう少し参加できるかな。
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2017年12月 9日 (土)

チャーミングなふたり

二夜連続。

【デナリカシンリッジ登攀+南西壁滑降 】
by 佐々木大輔×加藤直之 @エルク(甲府)
【STEEPでDEEPな話〜原点回帰編】
by 加藤直之  @パタゴニア 横浜・関内
 
デナリは、急きょ白馬に聞きに行ったので2度目だった。2度目だったけれど、当初から予定していた甲府にも。
大輔さんの人間の大きさにあらためて触れて、そして加藤さんの言葉のひとつひとつに(両日とも)、彼がフェアバンクスで学生生活を送ったときにアラスカの山々に登ったことが血肉になっているのだなあということが伺いしれ、とてもよい機会だった。
 
チャーミングなふたりの真剣な話。
あることを突き詰めている人、抜きんでた人というのは、みなチャーミングだなあと思う
 
合間に、エルクの土曜朝活にて、湯村山ハイキング+温泉朝ご飯も。
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  • ✾登山ガイドについて✾
    現在、MJリンクのサポーターやテントむし山旅プロジェクトbyAdventureDivasのガイドなどで活動しておりますが、このほかに個人ガイドをご希望の方は、下記「メール送信」をクリックの上、お問い合わせください。内容など、ご相談の上、実施したいと思います。

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