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2021年5月24日 (月)

『Mountain Trip 八ヶ岳』発売中

現在発売中の『Mountain Trip八ヶ岳』、表紙が素敵です。
八ヶ岳への愛情たっぷりの仕上がりになっています。

幾本か記事を書きました。
「八ヶ岳ってどんな山?」は、QAになっています。
山麓で八ヶ岳の書籍に出会える場所として、北杜市の日野春アルプ美術館とたかね図書館を紹介しました。オススメです。
先日、たかね図書館のポストに書籍返却したところ、自分の本も入れてしまったようで……翌朝、「きっと柏さんの本だと思います」とご丁寧な電話がありました。
近いうちに、取りにいかねば。

八ヶ岳Loversとして雨宮節さんと林恭子さんにインタビューもしました。
八ヶ岳について、永らく八ヶ岳に通った方に語ってもらおうと考えたとき、ぜひ登山家の雨宮節さんに語っていただきたいと思いました。
登山体系のエッセイが心に沁みたからです。
私にとっては、21年ぶりのインタビュー。山の大先輩に、渾身語っていただき、胸がいっぱいです。

林恭子さんは、かつて通った山がホームとなり、時間の流れ方や接し方、存在に変容があったというストーリーです。
初めてお話しましたが、とっても素敵な方でした。
彼女の登山の原点に、国際山岳ガイドのアスピランである天野和明さんがいらっしゃるようで、天野さんの話がたびたび出てきました。
最近インタビューする方々の話に、天野さんが出てくることが続きました。
けっして、自分の多くを語る人でもありませんので、私も知らないことがたくさんありますが、こんなにも多くの人にギフトを届けているのかと、感銘を受けました。

そして、林さんのお話は、雨宮さんのお話に相通ずるものがありました。

赤岳鉱泉ベースの登山の記事では、最近知った小さな物語を2つ書きました。
ひとつは当主の柳沢太貴さんと登った時に教えてもらったこと。もうひとつは登山家の雨宮節さんに教わった先代・柳沢太平さんのお話。

充実の一冊、ぜひご覧ください。

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2021年4月 1日 (木)

ヤマケイ新書『ドキュメント 山小屋とコロナ禍』 お詫びと訂正

先々月発売になった『ドキュメント 山小屋とコロナ禍』に、team KOIと私個人で50ページ以上書いております。
年明けに見本が届いてすぐに気づいたことですが、修正依頼をした箇所のなかに、正されていないところが多数ありました。
版元に問い合わせ、その経緯などは説明を受けましたが、まるまる1章修正がされていないこともあり、合計70ヶ所ほどに及びます。

3ヶ月もかかりましたが、本日、山と溪谷社のwebに「お詫びと訂正」が掲載されました。
http://www.yamakei.co.jp/products/2820510680.html

冒頭に「主な訂正箇所を、以下に列記します」とありますが、これ以外の間違いが重要ではないということは、まったくなく、どれも関係者および読者の皆さんにたいへん失礼なことです。
また、数が多く、とても読みづらいです。

書き手としても非常に悔しく、痛恨の書籍になりました。
関係の皆さんへのお詫びは、年明けから重ねておりますが、読者の皆さんにも大変心苦しく、お詫び申し上げます。


なお、上記の件が未解決だったため、本ブログでは本書の紹介をひかえておりました。
以下で、紹介しております。
facebook(本日から全体公開) →コチラ
team KOI note →コチラ

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2021年3月24日 (水)

『清冽 茨木のり子の肖像』(後藤正治著)@ランドネ

現在発売中の『ランドネ』5月号は、特集「バックパックを背負ってテントに泊る」です。
山の夜、テントの中のひとりの時間に読みたい本のコーナーに、『清冽 茨木のり子の肖像』(後藤正治著)について書きました。

ランドネ読者の平均値とあらゆるところでかけ離れている自覚があるため、あらかじめ「茨木のり子、堀文子、石垣りんあたりでいこうと思うのだが」と編集担当の佐藤泰那さんに話したところ、「茨木のり子と堀文子は私も山に持っていきます」と。

当たり前のことではありますが、私より前の世代から読み継がれている詩文は、世代を超えて伝わっていくのだなと、改めて思いました。

ほかに、
奇二正彦さんの『宇宙船とカヌー』(ケネス・ブラウワー著/芦沢高志訳)
池田圭さんの『河童の三平』(水木しげる著)
真田緑さんの『旅をする木』(星野道夫著)
があります。どれも、素晴らしいエッセイでした。

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2021年2月19日 (金)

『山登り基本のステップアップBOOK』

こちらは『山登り基本ステップアップBOOK』。
ランドネ既出記事をリエディットたものを中心に、書下ろしもあります。装備、気象、読図、ご飯のこと、山登りの心の部分など幅広い内容です。

・村越センセイの地図読みSTORY
・猪熊センセイの山岳気象STORY
・withコロナの山で登山者ができること
・『机上登山』の図書紹介
を再掲してもらい、雪山の世界の広がりについて、新たに書きました。

故西丸震也さんの『机上登山』では、去年まで小屋番をしていた友人の北爪清史さんの歌「水割りと地図」について書きました。歌詞に「テーブル登山」という言葉があったから。ヅメさんの最後の勤務の日、七丈に電話して「あのときのライブで聴いた歌について教えて」と尋ねたところ、率直なところを語ってくれました。
机上登山という言葉を知らないままテーブル登山という歌を書いたと。テーブルに地図を広げて、水割りを傾けながら、山に思いを馳せる歌。
そんな話も再掲してもらえるのは、ありがたいことです。

山歩きを始めたその先に一歩踏み出したい方々へ、お勧め。

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2019年6月28日 (金)

音読とオーディオブック

去年あたりから、ときどき、オーディオブックを使っている。
いまのところ、内容と使うときを限ってはいるが、相応の量を聴いてきた。
端的にいうと、便利なシロモノだ。


原稿を書くと、ほとんどの場合、音読するようにしている。
文章がスムーズに流れるかどうか、計っている。

オーディオブックでは、聴きやすい文章とそうではない文章に分かれる。その差がどこにあるのか、突き詰めて考えたことはない。
けれど、音読がスムーズなのと、聴きやすい文章なのとは、また違う気がする。
それに、ときに、スムーズではない文章にも名文があるようにも、思う。
恩師は、短文だけがわかりやすいのではない、一文が長い文章を書けるかどうかは、書き手の実力だ、というようなことを言っていた。

今日入稿した原稿。
どうも、音読するとスムーズではない。もっと手を入れた方がよさそうだ。入稿したけれど……。
はたして、この原稿をオーディオブックにしたら、聴き手は、どう感じるのか、そんなコトを考える。
名文にオーディオブック向きのものは、確実にあるが、名文が必ずしもオーディオブックに向いているとも思えないし、書き手としては、そのあたりのことがモヤモヤするばかり。

 

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2019年6月26日 (水)

旅に連れて行きたい本3冊@『ランドネ』

現在発売中の『ランドネ』(枻出版)に、一人旅に携えたい本を3冊紹介しました。

 

『風の瞑想ヒマラヤ』(根深誠)
書くことを生業にする意味と覚悟、書くという行為について、最初に教えてもらった根深誠さんの著作。
旅先で友人を見送るのは難しい……そんなとき、いつもこの本のあるシーンを思い出します。
雑誌には、入手しやすく旅に携帯しやすい中公文庫の書影を載せましたが、立風書房の単行本(↓)を見つけることができたら、ぜひ手に取ってみてください。故・田村義也氏の装丁が味わい深いです。

*「旅立ちの見送り」

 

『日の名残り』(カズオ・イシグロ)
私にとってカズオ・イシグロの一冊目、15年以上前にチョ・オユーABCで読みました。
ラサを出るとき、親しくなった中国人の友人が、「記念になにか欲しい」と言い出し、汗まみれになった毛糸の帽子を指すので、それだけでは忍びないと思い、日本語は読まないだろうに、この本を差し出しました。
良質な小説が、旅には必要だと思います。
私がなぜ、カズオ・イシグロを好きか、書いてみました。

 

『ゴリラの森に暮らす』(山極寿一)
山極寿一・京都大学学長が40代で書いた本です。
山極さんの生き方や研究者としての姿勢に大いに感化され、それは旅へのインスピレーションにもなりました。
ご本人に失礼承知で、率直なこと、書かせてもらいました。
最近は電子書籍で持ち歩く人も増え、それは便利だけれど、最大の弱みは旅先で友人と本の交換ができないこと、旅先に本を置いてくることができないこと。ちょっと、楽しみが減ります。

 

ランドネの読者の平均年齢は34歳、男女比は4:6程度だそうですが、今回の文章、それ以外の方々にも読んでもらいたいです。
50代男性とか、10代女性とか、どなたにでも。

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2019年3月30日 (土)

『みんなの山道具』

現在発売中の『みんなの山道具』(枻出版)。
自分自身の道具部屋の紹介と、夏のテント泊縦走で使う装備紹介などについて、書きました。
装備は、「山業界の達人たちがソロ装備を」という設定ですが、単独で山を登る機会はそう多くはないので、昨夏の仙塩尾根縦走ガイドのときのものを基準にしてあります。
装備を前面に打ち出した本に対して、失礼承知で言えば、装備ばかりを強調する風潮は好みません。記事に書きましたが、「〇〇のシュラフでは寒くて眠れなかったから、◇◇にしてみようと思う」と言われると、ときどき違和感があります。装備だけで解決できることではないので。


ほかのページに掲載されている方々の道具部屋をみてびっくり。とてもキレイでオシャレでした。
私の部屋は、まったくお恥ずかしい散らかり具合ですが、20年以上前に知り合った友人の小竹将通くんが作ってくれた部屋です。
マサとどんな会話をして作ったかなども、書きました。ありがとう。

 

写真は、道具部屋の入口に飾ってある水谷章人さんの作品です。
取材では、水谷さんの脚モチをしていたというカメラマンさんが撮ってくださいました。
https://www.ei-publishing.co.jp/magazines/detail/peaks-b-482478/

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2019年3月27日 (水)

山を楽しむ女性ヒストリー@『ランドネ』

『ランドネ』は、今年で10周年を迎えるそうです。
3/23発売の5月号には、中綴じの特別企画があり、田部井淳子さんと四角友里さんについてと、雑誌編集者の座談会を書きました。
田部井さんのことは何度も書いてきたし、この先も書き続けたいと思っています。今回の短い記事の中にも、読者の皆さんが新鮮に思ってくれることがあるかもしれません。夫婦のこと、家庭のこと、山のこと、命の閉じ方までも。


座談会は、佐藤泰那さん(ランドネ編集長)と小林百合子さん木村和也さんです。
小林さんは2010年から『Hütte』(山と溪谷社)に携わったほか、カルチャー誌に女性の登山について執筆したり、女性に向けた書籍も多数作っている編集者です。
木村さんは、当時『ヤマケイJOY』編集部に在籍し、涸沢フェスティバル(2008年~)を発案し開催にこぎつけた方。現在は『山歩みち』の編集長です。
『ランドネ』の前身となった、「オンナの子のためのアウトドア・スタイル」@『フィールドライフ』を作った福瀧智子さんが、日程の都合でどうしても参加できなかったことが残念ですが、前述の3人が山ガールブームの起こりといままでのことを語ってくれています。
私自身も多少なりとも、このブームのなかで仕事をした者ではありますが、彼らがいかに深く広く色んなことを考えていたか知り、自分の無力さを思い知りました。
短い記事で、書ききれなかったことだらけですが、こんな顔ぶれがメディア上で一堂に会することはめったにないので、ぜひ読んでください!


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2018年11月11日 (日)

針の穴に糸を通す

朝の散歩で、田んぼのあぜ道で摘んだ野の花を挿したら、夜になると元気がなくなってきた。

数日前、編集者は、「ここまでくると、皆のスケジュールを合わせていくのが、針の穴に糸を通すようなんです」と、電話口で言っていた。
皆とは、編集者である彼女、クライアントの担当者、誌面デザイナー、イラストレーター、それとライターの私だ。

編集者の仕事は多様に幾つもあるが、そのなかでも重要なのが進行管理。
発売日・発行日が決まっているわけで、それから逆算して、納品日、印刷所で下版する日、校了日……とどんどんさかのぼって、ライターである私に関係するひとつ目の日である原稿の締め切り日を割り出す。
たとえ、締め切り日に原稿を入れても、その後のデザインや校正、多方面との調整をしていくと、その先が進行表通りに進むとは限らない。
あらかじめ余裕を持っているとしても、最後の最後にはやはりギリギリになってくる。

こういった流れのなかで、その都度、細かく多方面に気を配り、日程を調整しながら、それぞれの仕事が円滑に進むようマネジメントするのが、編集者だ。
ほんとうに、たいへん。
しかし、針の穴に糸を通した彼女の仕事ぶりは、鮮やかだった。
私には、入稿後も、「この日とこの日は、なるべく電話連絡が取れるようにしてもらえますか」など、指示がきめ細かい。
野の花を摘んできた日、ようやく校了。
幾つもの目で見ても、ミスというのは防げないときもあるわけで、まだまだドキドキだけれど。
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2018年7月 2日 (月)

テレビに映ったゲラから

ツィッターのタイムラインに、セブンルールというテレビ番組に校正・校閲者が取り上げられるという情報があった。テレビを持っていないので、オンデマンドで観ると、牟田郁子さんという校正・校閲者の仕事ぶりが紹介されていた。

書く仕事をしているため、校正・校閲の仕事は日常にあり、それほど珍しいものではない。
書き手にとってはなくてはならない存在であり、会う機会こそほとんどないけれど、ゲラに書き込まれた赤字に、校正・校閲者の顔が見えてくることすらある、身近な存在だ。

番組のなかで牟田さんが、大沢敏郎さんの『いきなおす、言葉』を手に取った。校正・校閲作業のなかで、参考となる書籍は片っ端から読むだろうから、なにが出てきてもおかしくはない。けれど、よりによって、大沢さんの本だ。
いったい彼女はいま、どんなゲラを校正・校閲しているのだろう、と画面に映し出されるゲラに目をやった。
すると、「寿識字学校」とか「長岡長一」という単語を見てとることができた。
これはいよいよ、このゲラが書籍になったときには、読まなければならない、と思った。

運のよいことに、牟田さんの連絡先を知ることができ、尋ねた。すると丁寧に教えてくださった。それが、『猫はしっぽでしゃべる』だった。
熊本にある橙書店の店主である方の書籍だと聞き、いったいどんな本なのだろう、と思った。須賀敦子の『コルシカ書店の仲間たち』のような本なのか、大沢さんのことは、どんな風に書いてあるのか、手に取り、ページをめくり、読み進め、たどり着くまでドキドキした。

故・大沢敏郎さんは、横浜の石川町駅近くにある大きなドヤ街真ん中で、寿識字学校というのをやっていた。
私はいまの仕事をする前、ユネスコの仕事をしており、識字教育の関係で大沢さんと知り合うようになった。私のいた職場の識字教育は、インドやネパール、バングラデシュ、タイ、カンボジア、アフリカなど識字率が低い国の教育支援であったが、日本国内にも存在する識字問題に触れる機会があったのだ。

寿識字学校に通ってきていた、長岡長一さんや梅沢小一さんの文章は、いまでもよく覚えている。圧倒されるものだった。ほかの人達の文章にも、いつも圧倒されていた。
彼らは、教育の機会を逸し、文字の読み書きに不便している大人たちだ。その彼らが書くつたない文章には、ものすごい力があった。
その力がどこから来るかは、ものすごく端的に言ってしまうと、書きたくても、書けなかった時間にためこんだ力であり、ほんとうに人に伝えたい気持ちなのだと思う。それは、並大抵の力ではなく、ほんとうに彼らの文章は、息をのむものだった。

そんな人たちの文章と、大沢さんはいつも丁寧に、そして真向から付き合っていた。
私のような者が、ときどき寿識字学校へ行き、彼らと一緒になって、作文をし、それこそくだらない、中味がなく薄っぺらい文章を書いても、それについても真剣に付き合ってくれた。

文章を書く動機付けとか、その根底に流れるものについて考えるとき、私は、寿識字学校のみんなと大沢さんのことを思い出す。
そして、彼らが書く文章を越えることは、一生できないのではないか、と思う。
書く仕事につまずいたとき、寿識字学校の文集『いきるちから』や、大沢さんの本を読み直そうと、いつも思っている。
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