山小屋の厨房、朝の「上を向いて歩こう」
facebookの思い出機能に、友人のライブに行った話と、彼が歌う「上を向いて歩こう」のことが出てきた。
一緒にライブをする友人に音合わせに送った「上を向いて歩こう」の音源ファイル。
それを、同じ山小屋で働くもうひとりの友人が、朝の山小屋の仕事を終え、ほっと一息ついた朝の、時間と時間の隙間に聞いるのだと。
山小屋の朝は早起きだ。登山者が出発する前に起きて、朝食の準備を始め、登山者を送り出してから自分たちの朝食をとり、厨房で皿洗いをする。
つぎの仕事はたいがい、山小屋の掃除だけれど、その前にちょっとした静かな時間が訪れる。「〇時から仕事を始めようか」という呼びかけがあったり、誰がどこを掃除するかあみだくじが引かれたり。
つぎの仕事までの時間は、ふっとおとずれた時間と時間の隙間にある、ときが止まった瞬間のような、ほかの時間とは隔絶された静けさがある。
「柏さんも聴いて。絶対泣いちゃうよ」と、そんな朝の隙間時間に聞かせてくれた。
聴いてみると、泣けてくる声だったけれど、朝から泣いているという彼女のことの方が気になった。
「清志郎の声みたい」ともいうので、山小屋の手伝いを終えて下山してから、YouTubeで清志郎の歌う「上を向いて歩こう」がないか探してみたら、清志郎と甲本ヒロトが歌うそれがあった。清志郎も甲本も好きだけれど、こればっかりは友人の歌う「上を向いて歩こう」がいいな、って思った。
そんな話を、彼らと今日も朝早くから。
ちょうど今日は、山小屋に会いに行く約束の日だった。
会いに行けないことは、こんなにも淋しいんだなあと、朝からまたみんなでしんみり。
山は、清々しい場所であってほしい。
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