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2020年2月16日 (日)

レッカー車のお兄さん、最後の雪、パプリカのぬか漬け

先日、運転中のクルマにトラブルがあった。

リコール対象だったトランスミッションの検査を終えたばかりだったけれど、夜9時の北陸道トンネル内で突然止まった。
ホントに止まって、1mmも動かなくなった。
不幸中の幸いだったのは、カーブではなく直線だったことと左車線を走っていたこと、だと思う。
ハザードを出しながら、こんなとき、どうしたらいいんだろう、保険会社へ電話か?と思いながらも、高速のトンネル内にかなりのキケンを感じて……電話した先は、もう泣きつける先はここしかないってところ。「110番でしょ」ってあっさり言われて、110番。
クルマから降りたけれど、歩道域が細いので、壁側に四角くくり抜いたスペースがあり、そこによじ登って身を寄せた。

パトカーに乗った警察官ふたりと道路公団の方ふたりがやってきたのは20分後ぐらいだったか。
発煙筒やパイロンで後部を保護しながら、交通整理を始めてくれたけれど、それでも危ないので600m先の避難帯にクルマを動かしたいと。
エンジンはかかったので、ニュートラルポジションにし、警察官たちにクルマを押してもらい、ハンドルを握った。
けれどそれも、100mぐらいで終わった。完全に前輪がロックしまったく動かなくなった。
みなが、息を切らしながらクルマを押してくれていたことがわかり、なんだか申し訳なかった。
パイロンも発煙筒も、彼らの人件費も全部税金なのかと思うと、ありがたかった。

仕方なくそのままクルマを放置し、再び四角いスペースによじ登り。
今後のことを考え、クルマのなかに散らばっている荷物をパッキングをしたく、四角いスペースに荷物を運びパッキングもした。
待ち合わせていた友人に電話したら、「ピックアップにいくよ」と言ってくれたけれど、レッカー車の目途が立ってないので、先に共通の友人宅に向かって、寝て待っててもらうことにした。

結局レッカー車が来たのは4時間後。降雪でどのレッカー会社も出払っていて、黒部から来てくれた。
仕事といえども、申し訳ないし、ありがたい。
レッカー車のお兄さんと話しながら移動し、この先のことをあれこれ教えてもらった。
親不知のカーブなど、対向のトラックは容赦ないし、さぞ緊張したことと思う。
しばらく沈黙が続いたあと、お兄さんが「もうこの雪が、今年は最後だろう」ってぽつりと言った。
慣れ親しんだ富山弁と見慣れた日本海の夜の黒い海原のおかげで、心細くなることはなかったけれど、そうだな、この後雪が降ることがあっても、積雪が増えることはないだろうなあ……と、寂しく思った。

タクシーに乗り継ぎ、友人宅に着いたのは3時半。炬燵の脇に敷いておいてくれた布団に潜り込んだ。
翌日は事後処理があったので、山は諦めて、留守番することにした。

山を取りやめたことや、連絡をくれている最中だった友人など、必要最小限の人達に事情説明の連絡をしたら、みんな、ケガや事故にならなかったことが、本当によかったと言ってくれた。キケンな状態だったことは自覚していたので、心配かけたなって思った。
けれどその数日後、親しい友人に話したら、最終的には他人事だって言われて、はっとした。ものすごく悲しくなって涙があふれたけれど、自分のことは自分でやるしかないのだから、その通り。電話だったので、涙も気づかれずに済んだ。

自宅に戻ったあと、ラリーをやっていたクルマに詳しい友人に相談した。
何度も私のクルマも運転してくれているし、様子もわかっている。
トランスミッションの構造や最近の評判、今後の見通しなど、幾つか説明してくれた。
自分の乗っているクルマのことを、なんにもわかっていなかったんだな、とも思った。

出発前にぬか床に入れておいたパプリカ、今日まで忘れていた。
パプリカのぬか漬け、思いつきだったけれど、美味しかった。

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コメント

わー、シュンちゃん、こんなところにお訪ねくださったとは!
ありがとうございます。
はい、かなり身の危険を感じました。

能生よりもちょっとだけ新潟寄りのトンネルまで、黒部からレッカー来てくれたんですよ。
たぶん、シュンちゃんが知っているところの方。
普段は、こんな長距離はこないって、その理由も説明してくれて納得しました。
ほんとうにありがたかった。

慣れ親しんだ大好きな富山弁と、見慣れた日本海の海があったから、ちっとも心細くなかったです。
パプリンのぬか漬け、しみた。試してみて!

やーいやはや大変でしたね。トンネルそれも高速道路上でだなんて、想像しただけでぞっとします!! 無事でよかったです。パプリカのぬか漬け、より気持ちにしみましたね!

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