年の瀬に
年末に予定していた山を、すさまじい強風におののいて、諦めて帰ってきた日。
仕事の仲間と、1日早い年越し蕎麦を食べた。年の湊の夜のこと。
互いの仕事、それぞれのフィールド、最近の作品。作っているものは違うけれど、同じ山や自然、それに取り組む人々をテーマにしているという広義においては、同業者。
帰り道、ひとりになってあらためて、昨年の仕事について振り返った。
一本でも、これぞと思う原稿が書けたら、ヨシとしているのだが、年末になって最後の最後で大きな間違いをしてしまい、反省の最中でもある。
毎日新聞の連載は、月1回だから、12座の山を書くのかと思いきや、振り返り数えてみたら13座だった。
一年目から真打を出しちゃって、来年はどうするつもりなんだと自分で自分を笑う。
しかし、20年近く付き合い続けてきた北穂高岳と北穂高小屋について、書けたことは、素直に嬉しい。
存在が近すぎて、書けないのではないかと思っていたけれど、いざ書いてみると、ずいぶんと力のこもった文章を書いたのだなあと、他人のことのように思った。
今回は、「定点観測」と「山小屋を作った者」をキーワードにしてみた。
後者は、二代目主人の小山義秀さんが答えを述べた、その言葉を引用している。20年近く前に聞いた言葉だけれど、普遍だ。
それは、私が北穂で過ごした膨大な時間と、その後も彼方此方の山から北穂を眺めては思いを馳せていた時と共に、ずっと私の心のなかに変わらずにあったもの。
ぜひ、義秀さんの言葉を、多くの方々に読んでいただきたい。 コチラ→
いまは、長い年月をかけて思い続け、思いやりをいただきながら作った関係のその先にあるものに、ただただ感謝している。
自分の軸となるものがあり、おごりや迷いをなくし、初心に帰るきっかけをもらう場所。
今年は、もっといい仕事ができるよう、腰を据えて、あとはないものの覚悟でがんばろう。
« 小屋番の定点観測 | トップページ | 避難小屋で語る人間性 »
コメント