「Because it is there」@『PEAKS』8月号
前号は、白馬村在住の松澤幸靖ガイドでした。羊オトコから羊オンナへ。はい、幸靖さんとは同い年です。
『PEAKS』8月号の「because it is there」、除夜の鐘、最後のひとつき「108回目」にて、寺倉力さんにインタビューいただきました。
まさか自分に回ってくるとは思ってもいませんでした。
寺倉さんから依頼のメッセージが届いたのは、ちょうど、友人の山小屋の厨房を手伝っているとき。
「既読スルーしちゃいたいよ。こんな中途半端な人間をインタビューしてもねえ……」というと、友人が「インタビューしたいかどうかは、インタビュアーの問題。聞かれたことを、ただ答えればいいんだよ」と。さすが。
色んなことを思い出しました。
書きたいと心の底から思った最初の出来事。
大学山岳部の先輩、斎藤尚之さんに初めて会ったときの印象。
書くことの師匠である大沢敏郎さんから教わったこと。
寿識字教室に通う梅沢小一さんらに出会って、彼らの文章には一生かなわないと思ったこと。つまり、書く本質。
「月100枚書き続けられなければ、到底食っていけない」と、もうひとりの師匠に言われたこと。
第一世代のシェルパ取材のために、ダージリンに通った時間。
駆け出しの身で、和田誠志さんや高塚武由さんらをインタビューすることになったときの心細さ。
北穂高小屋に通った日々と、皆から受けた思いやり。
チョ・オユーABCで美しいナンパラを眺めていたら、発砲が起こり、山を登っているのがバカバカしくなったとき。
ガイドの仕事に喜びを感じられる自分を、知ったとき。
長い文章が書けなくなったどん底から、這い上がろうともがいているいま。
そのうちの幾つかは、インタビュー記事に書いていただきました。
けれど、私が文章を書けるとしたら、書きたいと思わせてくれる相手、対象があるから。
そして、インタビュー内容とは直接関係のないことでしたが、記事を読んだ、ほかの出版社の担当編集者からもらった感想が、とても嬉しく、仕事をしてきてよかったと、励みになりました。
これからも、コツコツ書き続けます。ありがとうございます。
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