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2018年4月28日 (土)

手紙

旅の終わりに、グリンデルに立ち寄ったのは、13年前のひと夏下宿させてもらったネビカー夫妻と、その娘のマルガリータや孫にあたるサラ達に会うためだった。

ある日、グリンデルの目抜き通りにあるカフェで、マルガリータとサラとコーヒーを飲んでいるとき、サラが、「facebookは情報が多すぎて、やっていない。それよりも、手紙を書くようにしている。相手のことを考えながらカードを選んで、切手を選んで、ポストに投函するのも楽しい」と言った。
 
facebookのある種の鬱陶しさは、誰もが感じたことがあるのではないかと思う。
名前の通り、顔を突き合わせるような、友人にちょっと顔を見せるためのツールだったらよかったけれど、「友達」がだんだんと増えてくると、気を遣うことも増えてくる。
設定によっては、親しい限った友人にだけ向けてやれることもできるが、その「親しい友人」とやらいう設定から、誰であれ、いきなり外されたときは、やっぱり心が傷つく。
ようは、そういうところも、面倒だ。
 
サラも、弟のラファエロも、小さなときからよく手紙を書いていた。
あの夏、山から下りてきて、下宿先に帰ると、ベッドの枕元に、サラとラファエロからの手紙が置いてあった。当時はふたりともまだ、英語を話さない小さな子だったので、彼らとの会話はもっぱらドイツ語だった。短い手紙も、ドイツ語。「昨晩の美味しいご飯、ありがとう。また遊びに来るね」、そんな内容だったと思う。絵も描いてあって、ほんとうに嬉しかった。
 
週末、お世話になった友人家族がある。
彼らの新しい引っ越し先を訪ねたのだが、美味しいものをたくさん食べさせてもらい、最後には手土産もたくさんもたされて、帰ってきた。
帰宅後に、もう一度お礼の言葉を伝えようとしたとき、ハタと気づいた。
知っているのは、引っ越す前の電話番号だけ。メールアドレス、どこかにあるだろうけれど、どこだったか。facebook、知らない。住所ならば、わかる。
 
それならば、家にあるカードから、彼らに向けたいものを探し出し、切手を貼って、投函。
さて、次は、サラが夫と暮らしているという新しい家に、手紙を書こう。
Fb_dsc0201

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