先週、あるクライマー達に声をかけてもらって、美味しいお昼ご飯を食べながら、彼らが撮影した映像をみせてもらった。
彼らが去年登った山が、無事成功して帰ってこられたというお祝いもかねた小さな集まり。
本人たちと、その家族と、ゆかりある人達が数人。久しぶりにお会いできた方々もいて、いい時間だった。
「柏さんも、最後に一言ください」と言われた。
なにも考えていなかったけれど、咄嗟に出たのは、、「(彼らが)これまでにどれだけ登ってきたのか、登りこんできたのか、想像した」という言葉だった。
氷雪と岩のミックス壁にラインを引き、切り拓いていく様子や、アンカーを構築する様、色んな判断をする瞬間、フォローする側も力強く、標高を上げてもしぶとく登っていく様。そんなシーンを、色んな映像素材から見せてもらって、ふたりは、ここにいたるまで長年、どれだけ登りこんできたのか、考えた。
メディアに出るのは、成功したときだけ。
それは極々一部であり、点のような、ほんの一瞬のことでしかない。
綿々と登り続けていることこそが、彼らの力であり、素晴らしい。
そして、そういう綿々とした時間のなかにこそ、喜びや充溢感があることを、私も登山者のひとりとして知っている。
さらには、そういう姿を年月重ねながら見せてもらえることが、ライターとしても、また友人としても、心から感謝した日だった。
彼らがクライミングを積み重ねるように、私も彼らを書くことを積み重ねられたら、それはとても嬉しい。
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