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2017年10月12日 (木)

山の仲間-その2

山に一緒に登る相手、パートナーのこと、登山を一緒に続けてきた友人のことを、「山の仲間」と自然に呼んできた。
 
ここ数年、『現代用語の基礎知識』の「登山」の項目を担当している。これは、現代の登山に関連するニュースを読み解くための言葉、登山の基本や本質を理解するための言葉、いま流行っている登山に関する言葉を集めたものだ。
数年前には「山ガール」という言葉も載せたぐらいだから、「山トモ」を載せてもよかったのかもしれない(今年の分は先日校了したが)、と先日、ふと思った。
 
最近では、登山を通じて知り合った人のことを「山の友達」、略して「山トモ」と呼ぶ。
しかし、私は「山トモ」という言葉を使ったことがない。
なんとなく軽々しく感じ、私にはしっくりこない。しかしその理由を深く考えたことはなかった。
 
先日、山小屋で山岳雑誌のバックナンバーを読んでいた。早く到着して、のんびりしていたときだ。
第一特集は、雪山登山の指南だった。そのなかに、雪山に登るための心構えのようなことを書いたページがあった。仕事の仲間が書いた文章だったが、真摯な素晴らしい内容だったので、帰宅後読み直したかったのだが、ウチの本棚にそのバックナンバーはなかった……処分してしまったのだろうか、がっくり。
 
とくに、山の仲間について言及した部分が印象的だった。大概のものはお金で買える、いい装備、適切な装備も用意した方がよい。身体作りも必要、技術も経験も必要。そしてさらに大切なのが、「山の仲間」だという話。
山の仲間は苦楽を共にし、相手の命を預かる相手。万が一のときは、相手を助けることができるだけの体力と技術を用意したいと。それが相手への敬意であり、山の仲間の務めであるという意味だと思う。
そうやって作り上げた関係性は、一生の宝物であり、時を経ても色あせることはないというようなことも述べていて、また「友情や友達なんていう甘ったるい言葉では表しきれない」「仲間」という言葉が合っている、というようなことを書いていた。いま手元にバックナンバーがなく、正確に記せないのだが。
 
友情という言葉が甘ったるいかどうかは、人により感じ方は違うし、友情にも色んな側面があると思う。
しかし、たしかに「仲間」という言葉がぴったりである。
仲間同士には、同じ目標をもって互いに尊重し合い、努力することに加え、友情もある。
そして、山の仲間は山を続けていくうえで不可欠であり、とても大切な存在だ。ほかには代えがたい。
 
雑誌を読んだ翌日、私は早月小屋を出発し、ひとりで早月尾根を辿った。
山頂に至るその瞬間に、「やっぱりこの山は、ひとりで来る山ではなかったな。仲間と来るべき山だった」と、仲間と共に登った時間を思い出した。最も大切だった仲間を失ったばかりだから、とくにそんなことを考えたのかもしれない。
それは、正直な気持ちであり、そして前日に読んだ記事を思い出しもした。
 
言葉は生きていて、時代と共に変わりゆく。
だから、「山トモ」というのはいまの時代に合った言葉なのかもしれないし、山で知り合った友人という意味だけであり、それはまだ「仲間」まで成熟してない関係なのかもしれない。
しかしやっぱり、私のなかには、「山トモ」という言葉は、ないなあ。
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