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2016年9月29日 (木)

トレイルランナー/サンゲ・シェルパのトークライブ開催!

9/27に「さかいやスポーツ」にて、UTMF総合9位のトレイルランナー、サンゲ・シェルパをお招きしてトークライブを開催し、私はインタビュアーを務めさせてもらった。
サンゲはその名の通りシェルパ族。東ネパールのタプレジュンという村から(ここまではバスが通じる)4-6時間山道を歩いた先にある山村トゥキマで生まれ育った。いまは、パリから電車で2時間の街に住んでいる。


トークライブでは、今年のレースの様子、サンゲがどのようにしてトレイルランニングと出会い、いまのようなトップ選手になっていったか、そして故郷ネパールでの生活やフランスに渡るまでのことを話してもらった。


村では、小学校は片道
5キロ、中学校は10キロかけて通っていた。モンスーンになると川が増水し危険で、通えない日もあった。こんな道のりを歩いたことや、学校から帰ったあとに家の手伝いをしていたこと(ゾプキョの放牧や沢への水汲みなど)が、トレイルランナーとしての身体を作る基盤となったのかもしれない、と話していた。

フランスに渡った現在、どんな食生活やトレーニングをしているのか、という会場からの質問には、「週に3回はネパール料理を自分で作って食べる。日常のトレーニングはしないが、年間のレーススケジュールを立てて、その年の目標のレースに向けて、いくつか練習となるようなレースを組んでいく」と。

ネパール料理とは、ダルバートやモモなど。サンゲは「なるべく米を主食としている」と強調していた。パンやパスタ(小麦粉)ではない、ということだろう。

生まれ育った時の食事が、やっぱり一番合っているのかもしれない。


ところでサンゲは、姉妹
5人と男の子ひとりだったため、早くから家を継ぐことを言われ、お見合いでお嫁さんをもらわなければならなかった。けれど、一生山村で暮らすことはできない、もっと世界をみたいと、カトマンズへ飛び出ていく。

そして、トレッキングポーターの仕事をしながら、お客様からフランス語を学ぶ。

先のFacebookで紹介したように音楽が得意だったり、またタンカ(仏画)を描いたりするが、タンカは小さなときからゴンパ(チベット仏教の寺)で観ていて興味があり、カトマンズに出た時に工房を見つけて、手法を習ったそうだ。いまではサンゲの描くタンカは、売り物にもなっている。

フランス語は、やがて学校にも通うようになり、そこで奨学金を得て、フランスへ渡る。

サンゲは、「僕が学校に通えたのは親のおかげ。ネパールでは教育を受けられない人も多く、それは親の考え方や経済状態次第」という。けれど、その恵まれた環境を活かして、一所懸命学んだのはサンゲ自身でもある。


「若いころに故郷を出て、いまはフランスで暮らしている(フランスで結婚し、子ども2人の4人家族)。失業率も高い異国で仕事を得て暮らしていくのは大変なこともたくさんある。けれどいまだからこそ、故郷に恩返しができる」と、「カンチェンジュンガ協会」を立ち」上げた。

カンチェンジュンガとは、サンゲの村からもよく見える8586mの秀峰だ。

協会では、村の小学校に文具やコンピューターを送ったり、壊れたトイレを直したりした。昨年の地震で校舎の修繕も必要となったので、この先はそれも行っていきたいと話していた。「自然条件の厳しい山村で生活していくには、互いに助け合うのが当たり前だった。だからいまは遠くフランスで暮らしているけれど、生まれ育った村のために尽力するのは当然」と話していた。


私は、
UTMFから東京へと約3日間をサンゲと一緒に過ごした。思いやりがありチャーミングな人柄で、私の心までが温かくなった。

昨日サンゲが、シャルルドゴールの空港に着き電車の待ち時間に「もうすでに、みんなのことが恋しいよ、日本が恋しいよ」とメッセージをくれたが、私も振り返ると、あの3日間が、ほわんとしたとっても優しい時間だったと思い出される。それはやっぱりサンゲの人としての魅力によるもの。


こういった品格や知性というのは、いったいどうやって人は身に着けるのだろう。学校に通うことはできた、といえどもネパールはいまでも最貧国のひとつである。けっして十分な教育を受けたとはいいがたい。育った環境もとても厳しいものだった。けれど、そんなことは人を形作るのに関係がないのだと思う。

サンゲと友情を深め、今年はAdventure Divasの招待選手としたポーリン+ハリー夫妻には、ほんとうに感謝したい。

トークライブ中の写真が手元にないので、サンゲを囲んだスタッフの写真を載せます。

ご来場いただいた皆さん、ありがとうございました。

*サンゲの奏でる笛は、ココココで聴くことができます。

 
Fbimgp2992

 

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コメント

こんにちは、よく見つけてくださいました。ありがとうございます。
相変わらず、不定期で、内容も安定せず、仕事前の準備体操、仕事後の整理体操的に書いているので、読みづらいかと思います。

モンベルは変わらず恵比寿駅前にありますが、当時とは駅が大きく変わりましたね。もう昔の姿は記憶の彼方に遠のいてしまいました。
岸恵子さんが、自ら朗読したのですか。それは迫力があったような。「わりない」とは、、、なんともわりない言葉です。

母のこと、ご心配いただき、ありがとうございます。
そして、お越しいただき、ほんとうにありがとうございます。
またいつでも、どこでも、ぜひに。

ご無沙汰致しました。何年ぶりでしょうか。里山歩きも出来ず、パソコンも出来ずにおりましたが、また読ませていただきたく、探し当て(?)ました。実家のお母さまは私くらいのお年かと、お元気でしょうか。山種美術館に行く時の、恵比寿駅前のモンベルでしたか、懐かしんだりして・・・。朝ドラ「とと姉ちゃん」が終わりました。今日は岸惠子さんの朗読劇「わりなき恋」を見て、サイン入り原作を買ってきました。読んでみたいなあ、上手いなあと思いました。毛色の違ったばあばですが、柏さんのご活躍を願いながら時々参加させて下さいね。

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