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2016年7月 4日 (月)

山岳ガイドの死

シャモニー周辺に2週間ほど滞在しているなかで、ジャン・フランソワというENSA(フランスの国立スキー登山学校)の教官をしている山岳ガイドの方が、ロシュフォールという山で亡くなる事故があった。
私自身は、彼と面識もなかったのだけれど、一緒にガイドの研修中だったメンバーたちがとてもお世話になった方だというご縁もあり、ある金曜日のセレモニーに参列した。
セレモニーは、ENSAのなかにあるホールで行われたもので、ジャン・フランソワのご家族とガイドや山の仲間たち、それからENSAの関連の方々が集まった。写真家でもあった彼の作品が、スライドで流れ、仲間たちが、そしてご家族がポツリポツリと彼の思い出話をしていた。
すべてフランス語であり、まったく理解できなかったことが、とても悔やまれるのだけれど、ときどき、小さな笑いもこぼれ、彼が皆に愛されていたのだろうことが、うかがわれた。

シャモニーというアルピニズムの本場に、私は登山をしながら、また登山について書くことを生業としながら、今回初めて訪れた。
これだけ、登れる山、登りたい山、登りたいと思わせる山々に囲まれた土地がほかにあるだろうか、というようなところであり、若いころに訪れ、少しずつでも登るべきだった、ヨーロッパの山を知るべきだった、ヨーロッパの登山に触れるべきだったと、取り返しのつかない後悔をした。

登山は、元来危険なものであり、こんな恵まれた山岳環境にあれば、当然シャモニーでも死亡事故は時々起こる。山岳ガイドの死もある。
だからこそ、プロフェッショナルであり経験豊富であり、シャモニーの山をよく知っていたであろう方の死は、自分に対して、真剣に山登りを学び、考え、実践せよという、強い戒めになった。
それと同時に、じつはセレモニーのとき、まったく別のことも考えていた。

シャモニー滞在中に、あるカップルから秋の結婚パーティのお誘いメールをもらった。なんて返信しようかと考え、こんなこと言う資格もない私ではあるが、「結婚とは、相手の骨を拾うこと、拾うと決意することだと思っている」というような節を書いた。若い彼女からの返信には、「私も、結婚やパートナーというのは、死んだときに身体を拭く人だと思う」とあった。
「あなたの人生、幕を閉じました。本当にお疲れさまでした、ありがとうね」と、相手の身体を拭いてあげたい、こう思えるのが、人生のパートナーなのだと、私も思う。

セレモニーでとうとつと父について夫について語る家族たちをみて、やっぱり家族というのはいいなあと思ったし、人生のパートナーをもつことは素晴らしいことだと思った。
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