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2016年6月13日 (月)

ランタン谷に

ランタンプラン代表の貞兼綾子さんから、お便りと写真が届きました。

昨秋、ヒマラヤキャンプが終わりみんなと別れたあと、ランタンに入る計画をしていました。ことの発端は、昨年4月25日のネパール大地震のあとの、和田城志さんのインタビューにあります。和田さんたちは当時、ランタン谷のどん詰まりにあるランタンリという山を登山中でした。地震後の28日に、ヘリコプターでBCを脱出したとき、谷を低空飛行した機窓から和田さんはランタンの様子を動画撮影しています。おそらく世界中のどの報道機関よりも早くに撮影したものであると思われます。和田さん宅にインタビューに行ったとき、この動画をみせてもらい、絶望的な光景に言葉を失い震えました。

ランタンプランは、氷河・水文・気象・地形・生物調査関わっていた研究者たちが中心となり、1986年に発足しました。地域の自然と住民たちの生活を考え、代替エネルギー導入などに取り組んできました。私は、代表の貞兼綾子さんに古くからお世話になっていることもあり、これまでもランタンプランの活動について伺ってきました。

そのランタンプランが、和田さん達の映像と、さらには宇宙開発機構の協力を得て、被災前後のランタン谷の航空衛生写真を使い、そのうえで自身達の専門性を集結させ、地震後のランタンの復興支援を始めました。これまでのランタン谷との長年の付き合いや信頼関係を基盤にし、ランタン村の再建に乗り出したのです。あれほど根こそぎ崩された土地であっても、やっぱり村民たちは戻りたいのです。誰が止めることができるのだろう……と思いました。

貞兼さんは、昨年5月末には現地入りし、その後も2回にわたり、長期的にネパールに滞在し、ランタンの村民たちと話し合いながら、どのように村を再建するのか、できるのか探る彼らの手伝いをしています。

私のランタン行きは、ランタンの様子を取材し、ランタンプランに少しでも協力することも目的としていました。ヒマラヤ登山のキャラバンの最中、そんな事後の予定を思い描きながら、メンバー達がもってきていたソーラー充電式のLEDランタン「ソーラーパフ」を、数個でも現地に持っていこうかと考えました。すると、隣にいた花谷泰広さんが、「だったら、協力するよ」と。最初は自分の小遣いの範囲で持っていくつもりでした。彼らがほんとうにこの灯りを必要としているかわからなかったし、自分が持てる量も限られているからです。

そこで、貞兼さんを通じて、ランタンコミュニティの代表であるテンバに相談すると、「この先もながらく電気には不自由するし、このようにシンプルで軽量コンパクトなものは役立つに違いない」という回答が返ってきました。それは当時、カトマンズのイエローゴンパに避難していた村民たちが、徐々に村再建のために山に戻り始めていた頃でもありました。

早速、甲府にある登山道具店エルクの柳澤仁・孝子夫妻に相談の電話をすると(Wi-Fi使用料金だけ払えば、あとはメッセンジャーやLINEの無料電話が使えるので、とても便利な時代です)、必要個数を仕入れてくださるとのこと。さらには、店頭に「ランタン谷にランタンを灯そう」というキャッチフレーズの募金箱も置いてくださいました。来店者たちが募金してくださったり、山梨県山岳連盟など県内の山岳関係団体からの寄付もありました。思いがけず話が広がり、私が下山してカトマンズに戻ったときには、40個のソーラーパフがカトマンズに届いていました。

結局、ネパールの新憲法制定に関連した燃料不足などが関連し、私のランタン行きはかないませんでしたが、カトマンズでテンバに会い、40個を手渡すことができました。ちょうどバンダ(ゼネスト)の日で、外国人の私が動くのは難しいだろうと、リングロードの外側に住んでいるテンバがバイクを使って、通常の3倍近い時間をかけて私のホテルまで来てくれました。

ソーラーパフは、テンバと貞兼さんのアドバイス通り、ゴタルーという山を移動しながら牧畜に従事している人たちに渡すことになりました。ランタンの産業、社会を作り上げている根幹にある人たちだからです。
様々な事情が重なって、結局40個の灯りがゴタルーに行き渡ったのは、今年5月のことです。

以下、貞兼さんからのお便りと写真です。

***
柏澄子さま

このメールが送信されるのは、大分先のことになると思います。

5月23日、ゴタルー( gothalo 牧畜専従者)たちは冬の放牧地からようやく夏の放牧地へと一斉に村周辺まで移動してきました。その翌日、村の会議場=草地でゴタルーたちとの会合を持ちました。今回のミッションの後半「ランタン酪農組合」始動のための事前の説明会です。全員が集まってくれました。その最後に、遅くなりましたが、かわいいソーラーランプを配布しました。写真を添付します。嬉しいプレゼントだったことがわかります。
彼らはすでにソーラーをフルに利用していてモバイルのチャージなどもしているようです。この彼らの表情からすると、何か別種のものに出会ったような感じですね。小さくて軽くて移動に便利です。
家畜群はあと3週間ほど村周辺で放牧後、一気に高度をあげて3800〜4000メートルの放牧地へと移動します。

写真、最後の一枚は、昨年の大地震で一番ダメッジを受けた放牧地から撮ったランタンリルン峰です。
彼らからの感謝の気持ちを写真に込めます。

2016年5月27日 ランタン谷にて
貞兼綾子
***

ランタン村の再建に向け、ほとんどの村民が2月にはランタン谷に戻ったそうです。
ランタンプランは、当初からのミッションにのっとり、今後もランタンの人たちが自分たちの手で村を作り、生活を再建していけるよう協力していくとのことです。
今後は、ランタンの重要な産業のひとつチーズ作りを復活させるために、吉田牧場の吉田全作さんも現地入りするそうです。
ランタンプランの詳しい活動は、以下のサイトでご覧いただくことができます。
ランタンプランFB

https://www.facebook.com/langtangplan/
ランタンプランHP
http://www.wrc.kyoto-u.ac.jp/kohs…/langtang-plan/LTplan.html

お力添えくださったのは、甲府の登山道具店エルクの皆さま、ご来店しご協力くださった皆さま、山梨県山岳連盟をはじめとした山梨県内の山岳関係団体の皆さま、花谷泰広さん、我妻一洋さんです。ありがとうございました。

私自身は、今後もランタンプランを通じてランタンに関わり合いを持っていきたいと考え、またこれまでたくさんのことを与えてくれたネ
パールに思い寄せて、震災後の復興のために自分の立場から尽力したいと思います。

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