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2015年12月

2015年12月31日 (木)

2015年

年末に、1年間の仕事を振り返るようにしている。
1年にひとつでも「これぞ」という仕事ができれば、それはすべてのことに感謝したくなる。
けれど、今年はそうはいかなかった。
思いのほか多くの人から、感想をもらった記事もあり、嬉しかったけれど。

このあいだある人と、作品と人格の話になった。
「いい人だって言われるよりも、あなたの文章が好きだ」と言ってもらえる方が遥かに嬉しい。もっといえば、「いい人だ」なんて言ってもらわなくてもいい。

ある写真家さんが、展覧会の会場で夫に話しかけ、「あなた、柏さんの旦那さんなんでしょう。僕は、柏さんの文章が大好きなんだよ」と言ってくれたと、帰宅した夫から聞いたことがあった。
これは、たまらなく嬉しかった。

年末にお会いした、70を越える古くからのクライマーの方とは初対面だったけれど、10年近く前の私の記事のことをよく覚えていてくださった。
これも、たまらなく嬉しかった。


今年はこれぞという仕事ができなかったけれど、そう思ってくれている人がいるかぎり、がんばり続けよう。

Troは、ノルウェーの小さな島にある。こんなところを訪れる日本人は、あとにも先にもいないだろうけれど、私にかぎっては2年続けて訪れた。
Troの意味を、島に住む女性に尋ねると、「believe」と答えが返ってきた。
believeという英語は、なかなか日本語にしにくいのではないかと思う。
信じる、真実だと確かに思う、つよくそう思う、というような。

48歳になってやっとわかったこともあり、あと10年早くに気づいていたら、と思うような情けなさもあり、この歳になって、なにをやっているのだろうとも思うが、でも、自分の仕事を心から信じていこうと思う。

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2015年12月30日 (水)

雪、スキー、スノーボードをテーマにした作品たち。
かねてから約束、予定していた「icon8/Persona2」(ebis films)
の上映会@白馬へ。無理くりだったかもしれないけれど、行ってよかった。ご本人からマンネリを続けるというような発言も、かつてあったけれど、その信念はなかなか貫けない。マンネリの極みには、新たな試みもあるのだとわかった夜。

『Stuben』(渡辺洋一+尾日向梨沙)を刊行するという意気込みもまた、相当のもの。次のシーズンまでかけて、じっくり読みたい、くりかえし読みたい。

...

「ほら、あの歯で噛む人、噛んで撮る人の作品集、私もみたいの」とワケわからんコト言ったのに対し、運転席と助手席の「撮る」ふたりが、「噛んで撮っているだけじゃないんだよ」と教えてくれた遠藤励さんの『inner focus』。最初に知ったのは、昨春、大吾さんから。話を聞いて、興奮した。

少しずつ、拝見していきます。

icon8/Perosona2   http://www.ebisfilms.jp/
Stuben   http://stuben.upas.jp/
inner focus   http://www.tsutomuendo.com/

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2015年12月20日 (日)

写真家・古瀬美穂さん『SWEET as...』

秋のあいだ留守にしていたから、冬、雪をテーマにした作品(写真、フィルム、雑誌、書籍など)をじっくり見るのは、まだまだ追いつかず。

 

まずは、『SWEET as…』から。白馬在住の写真家古瀬美穂さんの写真集。
美穂さん本人や、写真集に並べられた言葉は、柔らかく明るい雰囲気だけれど、写真は硬質なものも。

10月の「おれたちに出来ること」で見つけた美穂さんの作品(夕暮れ色の山のなかを、板を背負ってひとりぽつんと歩く古瀬和哉さんの姿があるもの)も、柔らかい光りがありながらも、どこかキリっとしたテイストもあるもので一目ぼれだった。

柔らかい優しい雰囲気の写真も好きだけれど、そこに硬質なものが含まれている写真がもっと大好きで、美穂さんは、(いい意味で)想像外の凛々しい作品を撮る方だった。...

そして「Sweet!」って、ものすごく素敵な言葉。

http://www.mihofuruse.com/

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2015年12月 7日 (月)

四半世紀ぶりのクンデ -I miss you all.

クンデには、昔お世話になったシェルパが住んでいる。

 

25年も前のことだ。初めてヒマラヤ登山にやってきた私たち学生3人は、登山を終えて、ルクラでテントを張っていた。すると小柄なシェルパがひとり、私たちのテントの前にやってきたのだ。ゾプキョを1頭連れて。「ミツモト先生の生徒でしょう」と。

 

たしかに私たちは、登山後、大学の三本教授の紹介で、クンデの彼の家に向かうことになっていた。しかしなぜ、私たちの登山が終わり、ルクラに下りてきたことがわかったのだろう。不思議だった。クンデとルクラは、下りだとちょいと急ぎ足で1日。登りでは2日はかかる距離だ(トレッカー・スピード)。

 

まだ携帯もWi-fiもなかった当時、この山域では、ほんとうにウワサ話や伝言が発達していたと思う。「スミコがやってくることは、2日前から知っていたよ」と、山の村で言われた経験は、一度や二度ではない。

 

彼-ソナムも同様だ。私たちが下山するだいたいの日を予測し、いろんな人を伝って、私たちの情報を得たのだろう。

 

ちょっと違う伝言ではあるが、私たちはソナムに会うまえに、大学の卒業試験の結果を、受け取ったばかりだった。この伝言は日本からやってきた。メンバーのひとりであった金森の双子の兄が、私たちの大学の掲示板に合格発表を見に行ってくれたことから、スタートする。それを私の母に伝え、母がその時お世話になっていたカトマンズの旅行会社にファックスし、そのファックスの紙が、ジュラルミンのケースに入って、ルクラフライトに乗ってカトマンズからやってきたのだ。

 

当時ルクラに固定の衛星電話があったかどうかはわからないが、一般的ではなかった。だから、カトマンズの旅行会社も合否の紙を双発機に載せたのだ。

 

正直、私は卒業できないってコトは、まずなかったので、気にしていなかったが、金森はこの結果次第では、登山後の旅をあきらめて早々帰国をし、追試を受けるつもりだったようだ。

 

そんなのんびりした時代だった。

 

あれから四半世紀。

 

クンデの村が大きくなり、当時の面影なんてまったくなく、行ったら迷子になるぐらいのことは、容易に想像していた。

 

でも、ソナムの家はクンデ病院の隣なので、なんとかなると思っていた。

 

実際には、隣家には娘さんが住んでいて、彼の家は別の場所にあった。それでも村の人に、「ソナムの家はどこか?」と尋ね、「それはヤング・ソナムか?オールド・ソナムか?」と質問が返ってくるぐらいだから、すぐにわかった。

 

ずっと不義理をしていた私のことを覚えていないことも想定内だった。三本先生は、クンデをモデルにしてシェルパ社会の研究をしていたので、彼の家を訪ねた学生は私たちだけではない。
それでも彼は、チベット人がよくそうするように、何度も舌を出して笑ってくれた。

 

一方、ソナムの家のことは、よく覚えている。結局1週間ぐらい滞在したし、その間あちこち歩いたりした。1階で家畜を飼い、2階はシェルパの家によくある作りになっている。昼間は長いベンチのようになるところが、夜はベッドになり、私たちはそこにシュラフを広げて寝た。私が借りていたスペースのすぐ下には、仕込んだチャンが保管されていて、なんだか毎晩酔っ払ったような気分だった。

 

毎日、お米とダルバートとタルカリを出してくれ、時々肉もつけてくれた。ある日、何にもわかっていない幼稚な私たちは、「家族のみんなと同じ食べ物でいい」と申し出た。そしたら出てきたのは、稗だった。食べるのがちょっと辛かった。その後の記憶はないが、おそらくまた白米に戻ったのだと思う。

 

ソナムに会って、いろんなことを思い出した。けれど、当時の面影は見つけられないほど年老いていた。そして、とても悲しく、寂しい再会になってしまった。

 

救いだったのは、友人が一緒だったこと。ひとりだったら、泣いて泣いて、一言も話せなかったかもしれない。それぐらい、ものすごくせつなかった。

 

たしかにわかったことは、彼と彼の家族に25年のときが流れたのと同じように、私にも同じだけの年月が流れたということだった。

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2015年12月 5日 (土)

現代用語の基礎知識

少し前の発刊になりますが、『現代用語の基礎知識』(自由国民社)の「登山」の項目について、今年も執筆担当しました。

アタマのコラムは田部井淳子さん、それに続く用語解説が私です。
『現代用語の基礎知識』は、トレンド用語、その分野の基礎となる用語のほか、現在のニュースを読み解くのに参考となる用語を取り上げるのも特徴です。

はたして、これらの用語の選択でよかったのか、内容は適切なのか、問われる点は大きいですが、今年もさまざまな方々から助言をいただきながら執筆しました。

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