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2010年11月23日 (火)

パイプオルガンとテレマークスキーの相関

世界的なオルガニスト、松居直美さんのコンサートへ

会場で落ち合ったのは、直美さんと懇意にしている友人のカヨちゃん、それとトキちゃん、カヨちゃんのところのスタッフの方。


ミューザ川崎というコンサートホールは初めて行ったが、立派なスイス製の大オルガンがあった。

前回直美さんの演奏を聴いたのは、ある幼稚園にある教会で、小さなオルガンを使ったものだったので、今日は全くちがう色合い。


私の大好きなヒンデミットから始まった。

大オルガンというのは、本当に偉大な楽器であり、直美さんが第一音を鳴らした時から、私たちのいるそこは、全く違う世界になった。


友人のけいちゃんが、一緒に行ったノルウェーの思い出について『SOUL SLIDE2007』に「フィヨルド・ノルウェー、魂のゆりかご」というエッセイを書いている。「魂のゆりかご」というのはスキー発祥の地、テレマルク地方のモルゲダールに残る言葉だ(ったと思う)。

あの旅は本当に美しく豊かな時間だったけれど、その中でも彼女がずっと登りたかったランダシュトップに、3度目のノルウェーにしてようやく登れた時のことを、エッセイの最後に書いている。

標高差1500mの一枚バーンは、山頂に近づくにつれて傾斜を増し、最後はシール登行ギリギリだった。かのけいちゃんが言うのだから間違いない。あの時、クリスチャンは「スミコ、下り、どうしよう?」とナーバスに私に話しかえてきたし、私は私で、もうどうにでもなれと思っていたけれど、最初の1ターンは、滑落するわけには絶対行かずにキックターンしたという思い出があったりする。

その1500mの一枚バーンは、鏡のように静かに青く輝くフィヨルドに向かって落ちていた。

しかも、困ったことに南向き斜面であり、午前中に強い日射の影響を受けた雪は、上から下までありとあらゆる“いわゆる”悪雪が続いたのだ。いったいどうやったらまともにターンができるのだろうかと、まったく次から次へといろんな種類の悪雪が展開されていって、私は開いた口がふさがらなかった。けれど、なぜかものすごく幸せだった。


けいちゃんはそのときのことを、

「パイプオルガンでいうところのオルゲルプレノ(Orgel Plenum、すべての音栓を引き出して風箱がぺんしゃんこになるほどの大音量)みたいなもので、これほどまでに魂が解き放たれる空間はほかには存在し得ない、この地この雪でテレマークターンができれば、それは百万NOK(ノルウェークローネ)に値するのである。」

と書いている。彼女は、オルガンビルダーになる勉強をした人だった(いまは森林学者だけれど)。


魂が解き放たれる空間。そんな素晴らしい場所が、この地球上にそうたくさんあるとは思えなかった。

だから私は、ノルウェーでそんな経験を再びできたことが、この上なく幸せであり、そんな宝物のような時間を、今日再び、直美さんの演奏で思い出すことができたことも、とても幸せなことだった。


こんな貴重な演奏を聴く機会をくださった、直美さん、大久保さん、かよちゃん、ありがとうございました。

0604naoko

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