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2010年10月 1日 (金)

北穂へ会いに

朝もやの上高地を歩き始める。

上高地から横尾までの道のりは、なんとも贅沢だと思う。眺める山々は一級のものばかり。そこには必ず日本の登山の歴史がある。そしてふもとの緑は本当に豊かで心が現れる。

山を眺めては登攀史に思いを馳せ、それに比べて自分がどれだけヒーヒー言いながら登ったか思いだし、緑に心癒されながら歩くと、あっという間に横尾だ。

横尾山荘のご主人である山田直さんにお会いした。

ずっと前私が初めて仕事で横尾山荘に泊めてもらったとき、直さんは従業員たちに私を、「僕の友人、山の仲間です」と紹介してくれた。これはとてもよく覚えているが(彼は覚えていないだろうし、改めて知ったら「撤回したい」というかもしれない)、私は山仲間になるにはまだまだ未熟者。

直さんが、下又白の開拓などで横尾に通い、やがて働くようになった頃、私はまだ大学生だった。私の目に映る直さんは、ちょっと(いいやかなり)怖い先輩で、下又白や奥又白、屏風岩などを登るなんだかすごい人だという印象だった。

山小屋の主人という仕事をしながらも、実はあのころと少しも変わっていない。

今日も昨今の登山のいろんな話をして、なんて硬派で山に対して誠実な思いの強い方なんだろうと思った。いろんな山小屋があるけれど、実は主人のそういった思いは、山小屋経営のほんの細部の部分に現れていて、それについて登山者は気づくかもしれないし、気づかないかもしれない、気づかないけれどなんとなく雰囲気を感じるかもしれない。

国立公園という特殊環境のなかで宿泊事業をしていることは、いろんな責務があるだろうし、難しいこともあるのだけれど、彼の立場だからこそできることがあり、それにいち早く気付き実行している点に、改めて頭が下がった。

やっぱり直さんは私の先輩だった。

快調に飛ばしてきたけれど、横尾で長居しすぎたので、再びペースアップ。

途中、“ナベさんの岩”(と私が呼んでいる岩)で、北穂高岳を定点撮影。いろんな仕事を一緒にした山岳写真家の渡辺幸雄さんが、ここを通るたびに(ってかなりの回数だろう)必ず定点撮影する場所だ。私も、ナベさんと一緒に何度もここを通り、それ以来真似事をしているのだ。

私には、横尾~涸沢間の間に、ナベさんの岩以外にあとひとつ定点撮影している場所がある。これもちょっとだけ北穂高小屋に関係があるモノ。ちょっと恥ずかしいので、内緒。

涸沢が近づいてくると、ナベさんの岩では北穂の北側にあった半月が、もう涸沢槍の近くまで傾いてきていた。

涸沢小屋でおはぎを食べてから登り始める。

取材で通っていたころは、いつも彼ら従業員と同様、まるで通勤路のようだったし、そのなかでいろんなことを考えたり、四季折々の機微を味わいながら歩いたりしていた。

プライベートで登るときも、やっぱり北穂のみんな(北穂高小屋の従業員たち)のことを考えながら登ることが多い。

今日考えたのは、約1ヶ月前のあの日のことだ。あの日、北穂のみんなはどんな夜を迎えたのだろう。その翌日、どんな気持ちで南陵を下ったのだろう。磯貝さん、痛かったでしょう。

いつも涸沢から1時間半もあれば到着するのに、現場が近づくと胸もつまり、小屋まで2時間もかかった。

従業員の昼ごはんが終わったというので、足立さんが現場を案内してくれ、状況を詳しく説明してくれた。いろんな先輩たちと一緒に眠ることになるケルンの予定地も見せてくれた。

大切な文章も読ませてもらった。空で言えるほど3回じっくり読んだ。

その後、いろんな話をして、夜が更けた。

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