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2010年3月16日 (火)

ウチの部員たち

母校山岳部の最後の部員ふたりが退部することになった。

学生の指導責任者になっている私としては、指導者というか先輩としてのふがいなさを感じるし、部が存続しなくなるのは寂しいことではある。

けれど、それほど登山にエネルギーを注げない部員が部員である必要はないといつも思っているので、彼らの退部に関しては、何とも思わなかったというか、それは辞めた方が私もいいと思うよ、とすら言った。

なんてことをあとでほかのOBの先輩方に報告したら何を言われるかわからない。

なにかに所属するというはメリットがある一方で、それに対して時間もお金もエネルギーも使う。Aを選べば、Bをやる時間はなくなるかもしれない。けれどそういうものでしょう、なにかを選ぶというのは。

あれもこれもやってみよう、こっちもあっちもなんとなくぶらさがっていよう、約10年間、学生たちにそんな気質を感じていたが、それで何がおもしろいのだろうか、何か充実するのだろうか、と思っていた。

また登山について言えば、ある程度の時間とお金とエネルギーをかけなければ身についていかない。せっかく大学生という金はないだろうが途方もない時間がある身にあるのだから、だったら、週末は山に行けばよいし、長い長い夏休みも冬休みも春休みも全部山に登れば、それはそれはいい時間が過ごせるだろう。

年に数回では話にならないのだ。それは他のところでやればよい。

しかし、どうやら彼らは選びたくないようだ。だから本当は退部もしたくないのである。

どうしてだろう、私からすると不思議なことだ。 

けれど、こういった若者と、実は私はほかの場所でも付き合っている。

なぜ、なんとなくぶら下がっていたいのだろう? 

最近の若者は頭がよくなったなあと思う。そつがなく要領がいい。

だからなんとなくぶら下がっているだけでも、それなりのことはササッとやってしまう。

頭が悪いことを大声で自慢はできないが、とても私にはできない。

そういう優秀さは感じる。しかし、ちっとも面白くないんだよな。

友人がブログに書いていた。

長年高校教諭をやってきた知人から聞いた話だという。

ここ数年、教育の場では自主性が重視されてきたそうだ。また、ゆとり教育の効果もあり、自ら考え行動する姿勢は備わってきているともいう。一方で欠けてきたのは、リスクを取る姿勢だそうだ。要領がよく、結果を先読みするために自らリスクを取りたがらない人が多いそうだ。

そういえば驚くような型破りの人は減っているのかもしれない。

だからい今は、思い切ったことをやらせるには、外からの“強制力”が必要だと、その先輩は考えているそうだ。

その強制力というのに、山岳部はなり得る、その価値があると思うのだけれど。

友人もこの話になるほどと思ったようだが、私も思い当たる節がたくさんあった。

山岳部の後輩もほかの新卒世代の若い人たちも、みんな頭がいい。要領もいい。能力が高いなあと思う。驚くほど大人に慣れているというか、物おじしないし、スラスラと話をする。けれど、それだけななんだよな。がっつりと突っ込んではいかない。「リスクは取りません」とはっきり言った人もいた。それはリスクを認識していないことでもあるのだけれど。

 でもね、登山という行為はリスクテイクし、リスクマネジメントしてやるものなんだよ。いいや、登山に限らず人生すべて。

友人も大学時代は山岳部で過ごした。その彼女が、昔は、どうしようもなくダメな後輩が数年後立派に成長していく姿を多く見たし、そういうのが喜びだったよなあ、と語っているが、ううん、愛情ある言葉だなあと思う。

ウチの元部員達とはまだ電話でしか話していないが、やりたいことがあるのだったら、ぜひともそれに集中してほしい、若いんだから頭ばっかり使わないで、頭も体も使ってほしい、リスクテイクしてみろ、やってみろ、と言った。

集中できるなにかがあることが、どれだけ幸せな人生であるのか、いつか彼らも気がつくと思うのだけれど。

十分、骨抜きでふがいない先輩が自戒をこめて、そう思った。

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コメント

SUZUPAさんですか?
ブログをご覧いただいていたなんて!

SUZUPAさんのような創造的で意欲的なクライミングは人を惹きつけます。
ぜひぜひ、これからもアウトプットの機会を!
私も拝見したいです。

とても心が熱くなりました。
自分自身も、集中できる何かを持って生きてきたつもりですが、それを言葉にして、人に伝えていく作業をしていきたい、と改めて思わされましたよ。。。

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いつも拝読している山岳ジャーナリストの柏澄子さんのブログに、衝撃記事。 ウチの部 [続きを読む]

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