『MOUNTAIN GEAR GUIDE』にカメット南東壁の記事
ちょっと前の発売になるが、『MOUNTAIN GEAR GUIDE'09-'10 (別冊山と溪谷)』 に記事を書いた。2008年の日本の登山(クライミング)界の10のトピックスのうちのひとつとして、「平出・谷口ペア カメット南東壁初登」について。
彼らのこのクライミングの価値やふたりの強みについては、(私が感じたことを)文中に記した。
別のページで大先輩のジャーナリストさんがカメット南東壁について「目立つ場所にありながら、これまで一度も本格的攻撃を受けたことがなかった」と書いている。一方私は、カメット南東壁が隔絶された地にあることと天候が安定しないがゆえ、これまで登山者を遠ざけてきたと書いた。
ちょいと反するような内容……? 私自身実はこの地に行ったことはなく(けれど、カメットのノーマルルートを登りたいと考えたことはあった)、地図を眺めて、経験者の話を聞いて書いたのだけれど、改めて考えると、私の表現も必ずしも正確ではなかったかも、と思った。
確かに比較的隔絶された土地だと思うが(インナーラインの存在がそうさせている)、カメット南東壁の写真は実は多く出回っているのだ。それは、インド軍が多く登っているからだろうか? 本当の理由はわからない。だから、たとえインナーラインの向こうにある山であっても、この壁を写真で見たことのある人は多いだろう。
そういう意味で「目立つ」壁だったと、今になって気付かされた。
他の方の文章を読むのは勉強になる。ほかにも、登山の出来事を大きな歴史(社会の歴史であったり、登山の歴史であったり)のうねりの中でとらえて書く表現などは、なかなか私のキャリアではできないことだ。
この元気なふたりから、何度か便りが届いた。昨日先輩を経由してもらったフンザからの便りでもとても元気そうで、様子が目に浮かぶようだ。スカルドとアスコーレ間の道は落石や崩壊が多く、ニュースによるとガリンダもとんでもない目にあったようなので、みんな無事でよかった。そしてその先にクライミングも、もちろん。
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