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2005年3月29日 (火)

もう歩いていても会えない

朝から自宅で原稿書き。

 昼前に外出して恵比寿駅前にあるモンベルクラブ恵比寿店へ。キーンが店頭に並んだというので見にいった。一昨年アメリカで大ブレイクしたアウトドア用の靴だ。サンダルというより靴に近いコンセプトだと思う。
 私が買ったのはナイロンと防水性のある皮革を使ったかかと付きのもの(Newport H2・写真)。川遊び+旅行で使う予定。かなりのフィット感。
 キーンの特徴は、つま先部分にしっかりとしたガードがあること。これならばフィールドでも安心して履ける。このメーカーの社長は、アウトドア用のサンダルを履いているときにつま先を大怪我したことがあり、それで前述のようなつま先のデザインになったのだ、と夫が商売トークしていた。

 その後、モンベル東京営業所のWさんのところへ。イベントの打ち合わせ。
 
 帰りがけ、携帯電話にチョモランマBCにいる友人のフォンフォンから電話が入った。彼は日中女子隊の通訳として働いている。チョモランマの仕事中も他の仕事の連絡に対応しなければならないから衛星電話を持っていったそうだが、気の毒でならない。山に行ったときぐらい、日常から解放されて、山に集中したほうがずっと幸せなのなのに。
 
 しかし、フォンフォンのおかげもあって、同じBCにいる知り合いのシェルパとも話すことができた。ありがたや~。ヌルブは私と同い年だが、今年はサーダーを務めているという。「くれぐれも、気をつけて登ってね」と言った。本当に、仕事で登る彼らにはそれしか言えない。

 私が初めてネパールに行ったのは1991年。その頃なんて、日本からの連絡手段はエアメールだけだった。それも届くんだか届かないんだか、よくわからない。
 その後、ナムチェにも電話が通じるようになり、今ではe-mailアドレスをもっているシェルパも多い。ヌルブもチョモランマ出発前に、メールをくれたばかりだった。
 そう、この現実には通信手段が発達したということと、識字率が向上したというふたつのことが含まれている。
 まさに隔世の感。
 
 しかし、メールはもちろんのこと電話連絡もできなかった当時でも、不思議と友人・知人のシェルパと連絡は取れたものだ。
 まだ大学生だった私が、メラ・ピーク登山を終えてルクラに戻った翌朝、テントの外から私の名前を呼ぶ声が聞こえた。テントを開けてみると、ルクラから2日間かけて歩く先にあるクンデに住むシェルパが立っていた。私たちは登山のあと、彼の家にお世話になる約束だったのだ。彼は、私たちの登山の進捗状況をどこからか聞きつけ、それにあわせてルクラまで迎えに来てくれたのだった。

 ほかに、こんなこともあった。
 あるとき、ドゥードゥコシ(川)沿いの道(エベレスト街道)を歩いていた。坂を上りきったところで顔を上げると、向こうからやってくるシェルパが笑顔で手を振っている。目を凝らすと知人のザンブーだった。「スミコのことは1時間前から見えていたよ」と言われた。目のよい彼らのことだから、あながち冗談ではないかもしれない。
 そういった再会が時々あった。
 それは、シェルパの住むクーンブ山域には車がなく、移動は徒歩だけの社会だからだと思う。何もかもが「歩く」というテンポで進んでいくのだ。それだけの世界だから、歩いていれば、また会える、そんな気がしている。

 しかし、今ではカトマンズに住むシェルパも多いし、最近の若いシェルパは常連顧客をスポンサーとして外国に住んでいる人も少なくない(これは、現代の若いシェルパにとってのサクセスストーリーかもしれない)。
 そうなると彼らの生活圏というのは、以前とは比較にならないほど拡大されたし、通信手段も増えた。もう、クーンブやロールワリンを歩いているだけでは、彼らに再会することはないのかもしれない。そう考えると、身勝手ながら少し寂しくなった。


 いよいよ睡眠を優先できなくなってきた。3月残りの3日間は必死で原稿を書き続けなければならない。

050329

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