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2005年3月31日 (木)

coolなトークショー・近藤謙司さん

 『Packers』の原稿書き。

 その合間に、岳人6月号の装備ページの件で、何人かの方々に電話する。古い装備について調べているが、とても書物だけでは調べきれないこともでてきた。この業界に長い大先輩たちに電話してみると、本当に親切に教えてくださった。
 道具の歴史は、登山の歴史や登山を取り巻く社会(装備の製造や販売、山岳雑誌・書籍などのジャーナリズム)の歴史などにも深く関わっている。大先輩たちから、そういった登山を取り巻くいろんな話を教えていただけることは、本当に感謝すべきことだ。

 夜、山岳ガイドの近藤謙司さんのトークショーに行く。
 謙司さんは、世界各国の山々から日本の山までたくさんの登山者をガイドしていて、その内容は、ヨーロッパアルプスの鋭鋒をクライミングすることも、世界中のパウダーを滑ることも、6000~8000m峰のエクスペディションも、日本のいろんないろんな山も全部含まれている。
 昨年、日本で初めてのチョモランマ公募隊を作り、登頂へ導いた。
 
 今晩もたくさんのフィルムを見せてくれ、そのいずれもがとってもカッコよくて、クールで、山を心から楽しんでいて、とってもハッピーな顔をしていた。来場者には若い人たちも多かったが、みんなが憧れたと思う。
 でも、彼はこんなに明るくクールなことをしている裏側で、絶対に人の何十倍ものものすごい努力をしているはずだ。

 これは、一昨年の『山と溪谷』に掲載したインタビューに書いたことだから、ここにも書いてもよいと思うが――。
 2002年秋に、チョ・オユーのその年のファーストアッセントを手中にした謙司さんとファイナルキャンプで会った。アドベンチャー・ガイズ公募隊の顧客たちと一緒だ。私は翌日アタックする予定でファイナルキャンプに入ったばかりだった。
 しかし、謙司さんにはとても話しかけられなかった。ABCではお隣さんとして1ヶ月近くを過ごしていたが、いつもの明るくて穏やかな謙司さんではなかったからだ。いつもどおり顧客に笑いかけながらも、険しい表情をのぞかせていた。

 山岳ガイドという仕事がどれだけ過酷なものなのか、私はそのとき思い知った。普通の人が自分の命を守るのも精一杯な状況下で、顧客をガイドしているのだから。

 しかし、そんな裏の努力や苦労を話したら、当のガイドの方々には怒られちゃうかもしれない。だって、山岳ガイドの仕事は、顧客の安全を確保することとそれともうひとつ、顧客が山に登って大いに楽しめるような環境を作ることなんだから。
 でも、きっと顧客の方々は、一緒に山に登る過程で、登山にはときにはものすごく退屈になるほどの途方もない努力が必要だということも、あるいはときにはものすごいがんばりをみせなければならないってことも、おのずと知ってくるのではないか、と思った。
 そして、楽しさや喜びや充溢感を味わうのかもしれない。

 今日のトークショーで、改めて、近藤謙司さんは本当にプロフェッショナルな山岳ガイドなんだ、とその仕事の内容や築き上げてきたものを尊敬した。

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