雪の小豆島一周と除夜の鐘
朝起きると、氷雨。そしてやがて雪に……。
昨夜ふたりは、明け方近くまでおしゃべりしまくったので、朝食のあとに二度寝。
昼前からバスに乗って島一周に出かけた。北周りで土庄へ向かう。島の北部へ行くと、雪の降りは一層激しくなり、すっかり冬景色。それでも、土庄港に着くころにはあがった。素うどんとちらし寿司を食べたあとに、港近くの八幡神社を参拝。にっこり笑ったえびす様がいた(写真下)。
次は南周りのバスに乗り換え福田方面へ。途中、オリーブ公園に寄る。
小豆島のオリーブは観光用の商業的なものかと思っていたが大間違い。歴史あるものだった。最初に栽培されたのが明治41年(1908年)。当時の農商務省が、漁業発展にともなって、イワシやマグロなどを油漬加工するのに必要なオリーブ油を国内で自給できないかと考えたためだ。小豆島のほか、三重県と鹿児島県にも植えられたけれども、地中海の産物であるオリーブにとって気候風土が合う小豆島だけが、栽培に成功したそうだ。
車窓からは、拇岳もチェック。これも花崗岩のきれいな岩場でマルチピッチのルートがあるところだ。
夕食後、マサオちゃんと1年間を振り返る。それぞれにとって、いろんなことがあった2004年だった。
私にとっては、中国四川省の未踏峰牛心山をトライしたことが自分にとっては大きな出来事だった。天候が悪かったことに加えて、私に限って言えば、未踏の岩壁にラインを描いて全て自分の力だけで登るには、私はまだまだ赤ちゃんのような実力しかなく、毎日毎日、情けない思いをしていた。それでも、自分の力を思い知ることができたわけだ。
そして何よりも、一昨年秋に自分たちで見つけたラインを仲間たちだけの小さな隊で、何に惑わされることもなく、純粋にクライミングだけに専念してトライできたことがうれしかった。
だから私は、四川では情けなくて涙する毎日だったけれど、それでもものすごくハッピーだったのだ。
いろんなことに決別して、これからは自分の好きなように、自分の山を登っていこうという覚悟ができた年だった(って、これ以上自分勝手になってどうすんだい!?)。
中国へ行く直前に、マサオちゃんは私に、「Transformation」というフラワーエッセンスをくれた。まさに、そのときの私を助けてくれるものだった。
振り返ると、変容の一年だったように思う。
そしてそれは、周りのみんなに支えられてやってきたことだと、実感した。
11時過ぎ、宿のお兄さんのご好意に甘えて車に乗せてもらって、福田の雲海寺へ。小豆島には弘法大師が開いた八十八ヶ所の霊場があるが、雲海寺は八十四番。ここで除夜の鐘をついた。お兄さんは、雲海寺近くで育ったけれども、ここの鐘をつくのは初めてだそうだ。
その後、お兄さんの案内で、近くの葦田八幡神社へ初詣。
寺で鐘をついたあとに、神社を詣でるとはさすが日本人。
神社の裏手には、お稲荷さんやいろんな神様が祀ってあった。スピリチュアルなマサオちゃんは、お稲荷さんのうしろの大木にうなり、「パワースポットだね」と言っていた。
私は、ネパールのカリガンダキ奥地にあるムクチナートを思い出していた。なんだか雰囲気が似ている。ムクチナートにはヒンドゥー教とチベット仏教のふたつの寺があり、その寺を囲むように108つある牛の口から水が流れ出ていて、ある晩秋の寒い日に4000メートルの高地で私は、ネパール人の友だちであるスディールと一緒に、その口から流れ出る水ひとつひとつで身を清めたのだった。
年が変わった真夜中に、宿に戻った。これで、お兄さんのご好意によって実現した除夜の鐘&初詣ツアーは終わり! ありがとうございました。
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