2018年4月26日 (木)

山岳ガイドさんとご一緒して

いま作っている本のなかに、山岳ガイドに登場いただくページがある。
行き先は、里山。里山だけれど、登攀もなにもかもガイドできるライセンスをお持ちの方にお願いした。

登山ガイド、山岳ガイド、国際山岳ガイドなどのカテゴリがあるけれど、それとは関係なく、この本を作るにあたって信頼できる方を考えたときに、最初に浮かんだのが彼だった。
そのことを編集者に話すと、私がフランスにいる間に、彼女は初対面の彼に交渉し、打ち合わせをし、取材の日まで取り決めておいてくれた。
 
ワンボックスに乗って、ロケ先の里山に向かうなか、ガイドの彼が面白いことを言った。
「ヨットって、やってみたいんですよね。だって、海を知らないと、70%のところへ行けないってしょう」と。地球上の70%が海、そう考えると、山で遊んでいる私たちは、ほんのちっぽけな範囲しか知らないのかもしれない。
そんな面白さが、彼にある。なんだか、嬉しかった。
 
自由で寛容で、それでいて厳格に真っ向に山から取り組んできた彼の人生が、小さな1日に表れている、というと大げさかもしれない。けれど、そんな彼の人柄がにじみ出るガイディングだった。

ガイドというのは、結局はそういうことなのかもしれない。
顧客の安全を確保する、そんなことは当たり前であって、登った時間が、豊かなものとなり、そこには、そのガイドの人柄や生き様が表れている。

いまにも雨が零れ落ちそうな空だったけれど、山頂に着いたころには、薄日が差し、春の花々を楽しんだ、いい日だった
 
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2018年4月23日 (月)

馬のバルーンと曇り空

旅先に届く訃報は、ことさら悲しい。
お別れにもいけない。葬儀に参列できないことと、故人との思い出や繋がりは無関係かもしれない。しかしお別れできないと、ほんとうに死が実感できないときもある。
ある友人があるとき、「ねえさんは、ちゃんと死に顔拝んできな」と私に言ったことがあったが、それはそういう意味だったんだなあと思う。

悲しみは、それを理解してくれる相手がいたり、甘えられる相手がいるときに、わいてくるときもあるけれど、ひとりにならないと実感できないときもある。
だから、旅の空で受け取った訃報は、ずっと宙ぶらりんのままであり、何日も経って、シャモニー中央駅でひとりになったときに、やっとこみあげてきた。
 
そんなとき、お母さんに手を引かれた小さな女の子が、もう一方の手に馬のバルーンの紐を硬く握りしめて、待合室にやってきた。大人っぽい顔立ちで、しっかりとした目線の子だった。
「可愛いバルーンだね、写真を撮らせて」というと、うなづいた。幼子が母国語のフランス語ではなく英語を解したのかわからないけれど。
バルーンをみて、この馬に乗っていけば、亡くなった彼女に会いに行けるのかなあと思った。
そしてその馬は、国境の駅まで、私と同じ電車に乗ってきてくれた。
 
そんな彼女から託されていた山行が、来月にある。
今日は下見に行ってきた。晴れてくれるかなあと思っていたけれど、いまにも雨粒が零れ落ちてきそうな曇り空。それでいて、最後まで降られることはなかった。
本番では、ちゃんと晴れてください。
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2018年4月21日 (土)

お礼参り

帰国早々、友人と向かったのは、長野と富山へお礼参り。
この冬にお世話になった、あちこちのご夫婦たちのところへ。
ホタルイカのタイミングは関係ないw、それよりも会いたい人たち、お礼言いたい人たちのところへ。


ある一点ではなく、それよりも線となって繋がっていき、お付き合いいただけることに、ただただ感謝。

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2018年4月19日 (木)

ギアの開発

春から秋にかけての仕事の打ち合わせで、あるギアの輸入代理店へ。
仕事のお付き合いは長く、駆け出しの頃から、ことあるごとに。
 
約8年前に発想があったというギアについて、当時のベースとなったモデルを拝見し、それから海外にあるメーカー本社とのやり取りのメールや、当時の資料をみせてもらってきた。
 
ベースとなったモデルは、クライマーが1シーズン使ったもので、その使い込み方に、人となりが現れているような気すらしてくる。
それにしても、本社とのやり取りが頻繁で丁寧。
こんな風に、クライマーの考えをフィードバックし、形にしてくれるメーカーがあるのかと、驚いた。
日本の担当者もイラストを描いたり、言葉で表現したり、あれこれ工夫を重ねながら、改良してほしい点を示したり、また使うクライマーの生い立ちやどんな志向にあるのかを、伝えている。
 
人が使うものだから、人があってこそ。
 
帰路、この会社に来たら、いつも立ち寄る文房具屋さんへ。
「おもちゃも作ったんで、遊んでいってやってくださいね」と言われ、このネコのInstagramができたことも、教えてもらった。
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編集者のアタマのなか

シャモニーからグリンデルへと移動する電車のなかで。
編集者と、LINEでやり取り。

不思議なもので、陸続きの隣国だというのに、国境を越えると、色んなことが変わる。
地形も徐々に変わってきて、牧草地の上に氷河で削られた雪と岩の山々がそびえるようになってくる。
スイスは、ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語が公用語となるので、車内の表示やアナウンスは、地域によって違う。けれどこれもものの見事、ドイツ語圏に入ると、ドイツ語になった。スイス・ドイツ語は、いわゆる「Hochdeutsch」とはかなりかけ離れているので、使うには苦労するけれど、それでもまったくわからないフランス語圏を抜け出すと、ホッとする。
むろん、鉄道職員も変わるし、ユーロからスイスフランになる。
 
そんな風に耳や目をあちこちに傾けながら、仕事。
 
編集者のアタマのなかというのは、面白い。
こちら書き手は、アイディアや考えをポンポン投げるのだけれど、それをどうやって誌面に落とし込むか、整理して具体化し、目に見えるようにしてくれる。いわゆるラフを引き、示してくれるのだ。
書き手でも、ラフは書くけれど、やっぱりこのあたりは編集者が本業とするところ。
任せておいた方がよいことが多い、と思う。
 
ところで、もう一題、電車の話題に戻ると。
合計5回の乗り換えを繰り返して、グリンデルにたどり着くのだが、そのすべての時に、周囲の人たちが、荷物の持ち運びを手伝ってくれた。
たしかに重たいけれど、自力で動かさなければならず、それができないわけではない。荷物が重たい分、乗り換えに多めに時間を用意したりもしていた。
けれど、背の低いアジア人が、明らかに重たそうに荷物を引いていると、手伝ってくれる。そのなかには男性も女性もいたし、いろんな人種の人たちがいた。
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2018年4月13日 (金)

「女性の登山指導者にまつわること」@『登山研修』

『登山研修』(国立登山研修所)の「創立50周年特集」に、「女性の登山指導者にまつわること」を書きました。
いただいたお題は「女性登山指導者の養成に関しての展望」。力不足ゆえとても書けず、上記内容に変更しました。展望については、長年研修所の講師を務めていらっしゃる高野由美子さんがお書きになっています。

周囲の女性の登山ガイド、クライミングインストラクター、クライマー、オーシャンアスリート、そして男性のガイドの方々にも助言いただきましたが、結局のところ、当たり前のことを回りくどくしか書けませんでした。

 

原稿に書いた大学山岳部に入部したときの主将は、斉藤尚之さんという方ですが、私は尚之さんのようなフラットな先輩に出会え、とても恵まれています。

女性の登山者、指導者にとって、同性の仲間や先輩ももちろん大切ですが、同時にフラットな視線でいてくれる男性の存在は、とても心強いと思います。

そして、性別問わず、人間がつねにフラットな視線でいられるということは、じつは結構難しいことなのではないかと、最近思います。

フラットな視線はガイドにも指導者にも重要なことですが、それを保つには努力が要ります。

 また、医学的、運動生理学的面については、今後さらなる専門性が求められると思います。

文中でフランスの女性ガイドの事情について簡単に触れていますが、この春、シャモニーからグリンデルへと旅した途次、お会いした女性の山岳ガイドさんから、最近のオーストリアの女性ガイドの事情をお聞きする機会があり、とても興味深かったです。

ご協力いただいた皆さん、ありがとうございました。

 

冊子は、今後、研修所のwebサイトで読めるようになりますがまだもう少し先。

今回は……文中に書いた、オーシャンアスリート、岡崎友子さんの印象的なインタビュー「海で生きるために、私が選択してきたこと」をご紹介します。→コチラ

友子さんとのお付き合いは長くなりますが、このインタビューのある一節を読んで、今回のテーマに大きなインスピレーションをいただきました。 

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2018年3月26日 (月)

走りながら考える~ヒマラヤキャンプ壮行会へ

ホワイトデーというのは、日本だけの習慣だろうか?
バレンタインになにもプレゼントした覚えのない友人から、「今日はホワイトデーでしょ」ともらった、その中味が奈良漬だったのには、笑った。
保冷袋に入っていたから、生チョコかなナマキャラメルかなと楽しみにしながら、帰宅後、袋を開けたら、粕にまみれたモノが……。
その手作りの奈良漬をくれたのには、彼なりの優しい理由があったことには、あとで気づくわけで、「じーちゃん、ばーちゃん、茶飲み友達かっ」と突っ込んでしまった。

そんな日に(奈良漬の話とはまったく関係ないのだが)、花谷泰広さんが主宰するヒマラヤキャンプの壮行会があった。
今回で3回目。回を重ねるごとに、いい方向へと、彼が目指した方向へと向かうようになってきたなあと、実感した。
とくに今回は、大きく舵をきった。

「走りながら考える」。
私が参加し、何本かの記事を書いたキャンプの1回目は、まさにそんな感じだったと思う。
最後に書いた『ウィルダネス』(エイ出版)の「孤軍奮闘、未来をみつめ「ヒマラヤキャンプ」を作る人 花谷泰広」は、ほんとうに好き勝手に書かせてもらった。
早々に本人から「原稿は見せてくれなくていいよ。掲載を楽しみにしている」とプレッシャーをかけられた。原稿確認不要の意図は計りかねたけれど、まさに、好きに書かせてもらった。
のちに記事を読んだ本人は、「愛情のある応援だと思っている」と、言ってはいたが。

初回から3年が経ち、走りながら考え進んでいくということは、いいことなんだって思う。
何事もそうであるが、すべてを整えてから始めるのでは、いつまでたっても始まらない。まずはやってみる。それは短絡的な行為というのではなく、そのとき出来うるベストを尽くしながら、考えていく。

3回目は、来月上旬カトマンズ集合。

*初回の様子を、当時、甲府にある登山道具店「エルク」で写真展をしました。その時の様子が、この写真展を支え、多大なるサポートをしてくださった方のブログに載っています。→コチラ

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2018年3月24日 (土)

山岳遭難エマージェンシーBOOK 座談会「登山のカナメ、考えるチカラ

『山岳遭難エマージェンシーBOOK』(枻出版)
③座談会「登山のカナメ、考えるチカラ」

このタイトルで座談会するのも3回目。メンバーは毎回少しずつ変わっています。
今回は、黒田誠さん(国際山岳ガイド、写真家)、中村富士美さん(国際山岳看護師、WMAJ医療アドバイザー、山岳遭難行方不明者捜索をサポートする民間団体代表)、羽根田治さん(ライター)、柏澄子(司会)。

皆さんの発言は、ぜひ本文を読んでいただきたいのですが、キャッチに掲載した言葉を、ご紹介します。
「どんな事故にも教訓があり、そこには人の心の問題も深く関わる」(羽根田)
「失敗に寛容な社会でありたい。山は自由でなければおもしろくない」(黒田)
「登山者として自立すること、自分で考え判断できるのが大切」(中村)
「死んではすべてが終わってしまうが、そうではない失敗はしてもよい」(柏)
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山岳遭難エマージェンシーBOOK 山好き女子のあれこれお悩み相談室

『山岳遭難エマージェンシーBOOK』(枻出版)
②山好女子のあれこれお悩み相談室

「女性特有」と言われている悩みについて。けれど、じつはどれも男性も基本的には同じコトだと思います。
また、生理など女性特有の悩みについても、男性の山仲間にも知ってもらえれば、もっと相互理解が深まりそうです。

数年前、長期でヒマラヤ登山に行く前に、婦人科系の病気にかかり、症状がひどくなったことがありました。高所で登山をするには影響も大きかったため、病気の進行具合や症状、困っていることなど、チームのリーダーと幸運にもチーム内にいた婦人科ドクターに、病院の帰りにすぐに電話して相談したことが、ありました。ドクターはセカンドオピニオン含め色んなアドバイスをくれたし、リーダーの彼も、国内の準備山行の時から、私の体調に、さらに気を配ってくれました。
そんな風に、女性側も男性に理解してもらえるよう努めるのも大切だと思います。

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山岳遭難エマージェンシーBOOK. エマージェンシーキット

今回で3冊目になる『山岳遭難エマージェンシーBOOK』(枻出版)、3本の記事を書きました。
①達人たちのキット拝見
ファーストエイド、エマージェンシーキットの中味をお見せしますコーナー。日帰りハイキングを想定しました。
何を、どれだけ持っていくかは、行先、日数、季節、スタイル、そして登山者それぞれによって異なりますが、なぜそれをその量持っていくのか、考えて決めることが重要なんだと、あらためて思いました。

ファーストエイドキットを入れる赤いバッグ(ファーストエイドバッグ S)は、モンベルがこの春発売するもの。サンプルで使わせてもらいましたが、このようにトレイ型に開けるものは、処置の最中に道具をトレイの上に並べて置けるので、土などで汚れにくく便利でした。
少々大掛かりなので、ガイド登山を中心に使う予定です。
明日からの長期個人ツアースキーには、もっと簡易的なバッグに入れて、小型化+軽量化を図る予定。

ほかに、同業のホーボージュンさん、高橋庄太郎さん、森山伸也さんのキットが紹介されています。

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2018年3月22日 (木)

積み重ね

先週、あるクライマー達に声をかけてもらって、美味しいお昼ご飯を食べながら、彼らが撮影した映像をみせてもらった。
彼らが去年登った山が、無事成功して帰ってこられたというお祝いもかねた小さな集まり。
本人たちと、その家族と、ゆかりある人達が数人。久しぶりにお会いできた方々もいて、いい時間だった。
 
「柏さんも、最後に一言ください」と言われた。
なにも考えていなかったけれど、咄嗟に出たのは、、「(彼らが)これまでにどれだけ登ってきたのか、登りこんできたのか、想像した」という言葉だった。
氷雪と岩のミックス壁にラインを引き、切り拓いていく様子や、アンカーを構築する様、色んな判断をする瞬間、フォローする側も力強く、標高を上げてもしぶとく登っていく様。そんなシーンを、色んな映像素材から見せてもらって、ふたりは、ここにいたるまで長年、どれだけ登りこんできたのか、考えた。
 
メディアに出るのは、成功したときだけ。
それは極々一部であり、点のような、ほんの一瞬のことでしかない。
綿々と登り続けていることこそが、彼らの力であり、素晴らしい。
そして、そういう綿々とした時間のなかにこそ、喜びや充溢感があることを、私も登山者のひとりとして知っている。
 
さらには、そういう姿を年月重ねながら見せてもらえることが、ライターとしても、また友人としても、心から感謝した日だった。
彼らがクライミングを積み重ねるように、私も彼らを書くことを積み重ねられたら、それはとても嬉しい。

 
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MJサロン~田部井政伸さんを迎えて

3月11日、第11回MJサロン~田部井政伸さんをお迎えしました。

 

谷川岳やヨーロッパでの登攀、50ccバイクでロス→NY、バハ1000の話など。人生の極意について、最後にさらっとお話されていました。

 

事前に古い岩雪と岳人を探したけれど、政伸さん達の記録が見つけられなかったところ、「俺、ほとんど記録書かなかったから」と。
けれどもちろん、幽ノ沢中央壁左方ルンゼ初登攀については、登山体系に載っていました。これを読んで、さぞ気持ちよかったのだろうなあって想像したところ、この初登攀について、ある登山家とまったく同じことを、政伸さんは語っていました。

 

私がいつもワクワクしながら聞く政伸さんの話を、皆さんにお伝えできたのか、とても心配だけれど、参加の方々から昨日の感想をいただき、その心配はおこがましかったって思いました。皆さんそれぞれが、政伸さんの生き方の色んなところを感じ取ってくださった様子。ありがとうございました。

 

後日、MJリンクブログに参加者からのレポートを掲載します。
写真は、レショ氷河からグランドジョラス北壁へ。撮影が政伸さん、後姿はパートナーの方。

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2018年3月21日 (水)

春雪のなか、春遊びの準備を

日めくりカレンダーめくったら、「春遊びの準備を」と。まさにそんな日。
仕事が重なり、テープ起こしや原稿書きが山積みであるけれど、今日は春遊びの準備を。
 
この冬、あちこちで色んな人たちと一緒に滑ったり、登ったりした。
この週末は、イワオさんに頼み込んで、もう一度ご一緒させてもらって、まさにそんな冬を締めくくるような日となり、冬のあいだにご一緒したみんなを思い出し、感謝した。
イワオさんとは、1シーズンに1回、ご一緒できることがあるかどうか……というところだったけれど、この冬は「トレーニング、お願いします」と、3日間もご一緒した。
 
「え? 柏さん、滑りに好みがあるの? ウケるわー。オレは好み?」って。
誰だって、滑りに好みがあるでしょう。スキーは、骨格や体格、その人のもつパワーだけでなく、性格、性質のようなものも出ると思っている。もちろん、技術次第なところもあるが。
とくに、テレマークスキーは自由度が大きいので、より個性が出る。
 
イワオさんのスキーはともかく上手い。メチャクチャ上手い。
ある映像作家さんに、「どんな滑り手を撮りたいの?」と尋ねたら、色いろあるだろうなかで「スキーが上手な人」と即答したことがあった。それと同じかもしれない。とにもかくにも上手くて、板が走っていて、気持ちよさそうで、格好いいん。メチャクチャ好みだわ。
 
山の終わりに、段々畑が出てきたときも、ぴゅんぴゅん飛んでいった。「小さい時は、こういうところを滑っていたんですね?」と聞くと、「そうだ。ゲレンデなんて行かないしね」と。
そんなやんちゃさも顔を出す。
 
山ではとてもついていけないけれど、ゲレンデでトレインさせてもらえると、ものすごく幸せな気分になる。
というか、勝手にトレインで追いかける。ついてきていることがわかると、色んなターンを盛り込んだり、荒れたところにも入っていく。うっかり調子に乗ると、飛ばされたり。
 
週末はそんなだったけれど、それ以外にも、冬のあいだは、雪の上で色んな人たちと色んなことがあった。
1月の引きこもりから、ナントカ外に出られるようにまで元気づけてくれた友人達もいた。
 
どんな春遊びになるかわからないけれど、じつはひょっとしたら、それはそれであって、それにいたるまでの、こんな冬のことが、とっても大切な宝物だったりする。
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2018年3月10日 (土)

正方形の故郷

編集者の小島一郎さんからいただいた写真展のご案内。
釣りの雑誌から山岳雑誌の編集に移り、一緒に仕事をするご縁ができた。
お名前は釣りの雑誌の頃こそ聞いていたけれど、初めてご一緒するときに思わず、「小島一郎ですか!」と言ってしまった。津軽の小島一郎と同姓同名。
 
仕事をご一緒した方々の展覧会はなるべく足を運びたいと思っている。
彼らが、いつもの仕事の場ではみせない顔、表現をみせてくれる場に。
どんだけ、それに注力したのか。
 
だというのに、小島さんの「正方形の故郷」には行きそびれてしまった。
お詫びのメールを書きながら、あらためてご案内の葉書を見入った。
いったい、「正方形の故郷」ってどういう意味だろう。正方形にしか故郷はないのか。この背景の建物はどこだろう。なぜマスクをかぶっているのか。
そうこうしているうちに、ひょんなことから、舞台が横浜の寿町だということを知った。そして、まったくの後悔をした。
 
前職で通った、故大沢敏郎さんの寿識字学校。私はここで、言葉の意味や文章
を書くことを、大沢さんから、寿町の在日韓国人たちから、教わったと思っている。
自分の仕事において、原点に立ち返るとしたら、ここしかないと。
 
そんな寿町をテーマにした小島さんの写真展は、このあと大阪ニコンへと。
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2018年3月 1日 (木)

そして、春雷

明け方、雨の降る音で目が覚めた。
雪ではなく、雨。
そして、雷がなんども彼方此方で、轟いた。
春雷。突然の春の訪れ。
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桃の節句を前に、届いたお菓子「桃カステラ」

2018年2月28日 (水)

春が近づいて

季節の移り変わりというのは、その季節によって違うように思う。
 
夏になるのは、空気が入れ替わったその日の朝。
秋を感じるのも、乾いた空気に入れ替わった、その時。
冬の訪れは、徐々にやってくるように思う。
 
春が近づいてくるのも、だんだんと。
季節が行ったり来たりしながら、逆戻りの天気もあって。
 
雪国でも、雪が消え始めた土からフキノトウが出てきた。
天ぷらにして食べた。今年初の、苦味のある山菜の味だ。
日が長くなってきた。
北アルプスの稜線で風に吹かれると、それは寒いけれど、ひとたび谷に入ると、柔らかな日差しが届く。
けれど、まだまだ天から雪も降ってくる、それもまた嬉しくなる。
 
春のお告げが、あちこちから届き始めた日の朝、白湯に桜を漬けこんだ塩を落として飲んでみた。
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2018年2月18日 (日)

山書

ガイドに来てくださっているMさんが、facebookに、山口耀久さんの『北八ッ彷徨』を紹介していた。ある山小屋の方から勧められて、手に取ったと。
「私も、この本が好きです」とコメントすると、澄子さんはなんでも知っている、山の本をなんでも読んでいるようだ、というような返信をいただき、恥ずかしくなった。
 
私は知らないことだらけだし、山の本もちっとも読んでいない。ほんとうに読んでいる人たちを大勢知っている。それにじつは、積読も好きだったりする。
 
けれど、私の世代の少し上の先輩たちは、山口耀久さんをクライマーとして憧れただろうし、私自身も先輩たちの影響で、そんな文章も読んだ。そして、文芸的な面でもたいへんな恩恵をいただき、彼のおかげで、私たちは山の良書、よい文章をたくさん読む機会を得たのだ。『アルプ』しかり。
ちょっとだけ長く山をやっているだけで、そういうことがほんのちょっとだけあるだけ、たったそれだけのことだ。
 
今回、Mさんのfacebookの写真を見て、平凡社の定本のボックスに掲げられた文字は、深い緑色の活版で刷られたものであり、その緑色が北八ヶ岳のコメツガの色そのものであることを、あらためて知った。書名と著者名のあいだに、コメツガの針葉と松ぼっくりの絵も添えられている。
著者も素晴らしいが、これは装丁家の仕事も素晴らしいと思った。
そして、本棚から山口耀久さんの著書を取り出してみようと思い立った。
 
そんなきっかけを作ってくれたMさんに、感謝するのは私の方であり、良書は時を越えて、登山者たちの手に渡るのだろうなあと思った。
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2018年2月16日 (金)

山のガイド

先日、友人でもある山岳ガイドと、クライミングに行く機会があった。
仕事上、ガイドと山に登ることもある。しかしその目的の大半は、安全管理であり、そのなかで私たちが取材をしたり、撮影をしたりするというもの。
山岳ガイドの友人、仕事仲間と山に行くことも少なくない。が、それはガイドとクライアントではなく、仲間同士の登山、クライミング。
しかし、今回はちがった。
 
クライアントとしてガイドと一緒に登ったのは、初めての経験。そのガイドが、彼でほんとうによかった。ひょいっと降ってきたような機会だったけれど、貴重な時間となった。
 
色んなことを考え、感じることができた。
たとえば、リスクマネジメントについてどのように考えているのか。わざわざ語るわけではないが、一緒になったパーティとの接し方や装備の扱い方、アンカーの取り方、そのほかすべての言動から、それは知ることができる。
それらは、私が山に登る者として、具体的な学びがあるだけでなく、考え方も含めて今後の指針となる。
 
あるいは、山への取り組み方。
これまで仕事でもプライベートでも色んな場面をご一緒させてもらってきて、十分わかっていただろう、その姿勢を、登る場面でまざまざと感じることができるのは、幸せな機会なのだと思う。
クライミングだけでなく、アプローチもあわせた登山全体のなかでの、彼自身の動きを見て、言葉を聞くと、これまで辿ってきた道がうかがい知れるようであり、そしてまた、どんな山を、クライミングを志向してきたかが、強くわかる。
私も大好きな、共感できるセンス、憧れる志向性。
 
以前、山岳ガイド達をインタビューする連載をしたことがあった。
あるガイドをインタビューしたとき、たまたま彼のクライアントのなかに友人がいたので、「いったい、どんなガイディングをするの? どこが魅力なの?」と尋ねたことがあった。ガイドの彼も親しい友人であるが、友人がガイドをする姿を見たことがなかったので、いったいどんな顔をしているのか、知りたかったからだ。
クライアントに尋ねたことを、本人に言わないのもフェアじゃないと思い、報告もした。
そのとき、「アルピニストと一緒に登ることができる、幸せ」というような表現を、クライアントの彼女が使って話してくれた。「アルピニストと登る? そんな感覚になるの? どういう意味かなあ」と再び尋ねると、「ほんとうに山が好きなんだと、感じることができる」ともう一度説明してくれた。
 
その人が、「ほんとうに」山が好きで、そして自分のスタイル、志向をもっていて、それを感じ取ることができる、そんなガイドと登れたら、それは極上の経験となるだろうと、私も今回、実感できた。
 
私自身は、無雪期を中心にハイキングのガイドをするが、はたして、自分がもっている山の世界観を、お越しいただく方々に、感じとってもらうことができているのか、人に感じてもらえるほどのスタイルや志向を持っているのか、ということも考えた。そういうものがあるのが、いいガイドなのではないか、と。
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2018年2月11日 (日)

音楽、文学、友人

稜線が轟々と烈風吹きすさび、樹林帯に入ってくると、ほっと生き返ったような。
そんな山から逃げ帰り、ひとりでドライブしながら、音楽を聴く。
アルバムを選びながら、最近、ある友人と好む音楽が重なっているねと、ふたりで互いにそんな話をしたことを、思い出した。
女性歌手でいえば、ジョニー・ミッチェル、リッキー・リー・ジョーンズ、矢野顕子。私はそれに加えて、キャロル・キングにローラ・フィジィ、アナリス・モリセット、浜田真理子かな。
 
先週の山は、その彼女が運転する車で帰ってきた。
桑田佳祐が流れていて、私より少し若い友人が「若い頃は、この人の歌、ダメだったんだよね。最近、好きになった」と言う。サザンはいいけれど、桑田の歌は苦手だったと。
甘くも男っぽい桑田佳祐の声を聴きながら、「優しい歌なんじゃないかな」と、思わず言葉が出た。「そうか、優しいのか」と友人。「今まで、当たり前のわかりやすい優しさしか、気づかなかったよ」と。なんというタイトルのアルバムだったかわからなかったけれど、桑田の歌は、まぎれもなく優しかった。
 
寝る前に、ベッドの中で本を読む。『冷蔵庫の上の人生』。この本を勧めてくれた友人は、学生時代をバークレーで過ごした。英語の原作を読んだと。私は、迷うことなく日本語訳を手に取った。
なかなか、私にとっては辛い内容だけれど、そこにも優しさがあった。
 
気づかなかった優しさ。
ものすごく辛いときや悲しいときに、言葉をかけてくれた人たちのことを、人は忘れない。
その言葉ひとつひとつも、そのときのシーンも、声の色も、相手の表情も忘れない。
そんななかに、気づかなかった優しさがあったことに、ようやく気付いた。
 
「柏さんが、これ以上無駄な人生を送らないことに、乾杯」。
びっくりする言葉。え? 私の今までの人生は、無駄だったのか? ちょっと解せない言葉に、しばし考えこみ、その後も時あるごとに考えこんだ。
それが先日、あるひょんなことがきっかけで、「ああ、ひょっとしたら、ああいう意味だったのかもしれない」と思い至った。ま、今回の理解もあっているのかは、わからないし、何よりも言葉を発した当人はもう覚えていないことだろうけれど。
それでも、人の優しさは、いろんなところにある。
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2018年2月10日 (土)

胸の奥に沁みる味

白馬でスキーを終えたあと、小谷村へ行った。
まずは友人達と、あるレストランへ。ひょんな流れで、「今日の昼はここで食べよう」という話になったのだが、その思いがけない出会いに、びっくりした。
とても美味しい。そしてシェフが着ていた、シェフコートに山並みが刺繍されていたので、尋ねてみたところ、岳人たちとの交遊がたくさんあることを知った。シェフの話に登場する方々は、山と文学、山とツアースキー、山と写真、山と釣りなどの趣味をもっている方々で、私も旧知の方もいらっしゃれば、お名前だけ存じ上げている大先輩たちも。
 
世界各地で修行したあと、故郷小谷でレストランを営もうと戻ってきた、と。
そして、北アルプスの山麓で、料理を通じて、地元に貢献しようと努めていらっしゃった。
あっさりしたフレンチは普段使い、毎日でも食べたい味であり、美味しいというだけでなく、それ以上に胸の奥底に沁みた。
 
その後、友人達と別れ、さおちゃんの家に向かった。初めて訪ねる彼女の家は、とっても大きな古い日本家屋で、道路から玄関まで背丈以上の雪が積もり、ラッセルしないとたどり着けなかった。こんな大きな家に、ひとりで住んでいる女性を、私は知らない。
 
彼女を知る誰もが、「さおの料理が食べたい」「さおの料理は旨い」と口々に言う。
 
そんな彼女が、料理を作って待っていてくれた。
南瓜のスープと、マフィンを使ったピザ、そしてキャベツと人参のサラダだ。
どれも、ものすごく美味しい。ピザには胡桃が入っていた。サラダになんとなく「和風」の風味があると思い聞いてみると、塩麹を混ぜたという。
 
職業柄、予算内でスーパーで売っている食材を買い求め、大人数に向けて、手際よく作ることに慣れている。とはいえ、彼女の作るご飯は、なんでこんなに美味しく、胸の奥底まで沁みるのだろう……といつも、思う。
食べてくれる人が、その日にどんなことをしたか(身体をたくさん動かしたとか、机上でアタマを使ったとか)を考えながら作る、とも言っていた。
 
翌朝、友人宅にて。「スミちゃんが好きな朝ご飯だと思うよー」と出してくれたのは、味噌汁とお握りと漬け物だった。
 
味噌汁は、鰹と昆布で出汁をとり、シンプルな構造の味の赤味噌。三つ葉とオホーツク産だという素干しの海苔。なんと表現していよいか、その言葉を持ち合わせていないけれど、ものすごく美味しかった。
友人は「いただきものの赤味噌がいい仕事をしてくれただけ」と言うが、それだけではない。
 
そしてまた、塩味だけのお握りが、ふわっとしていて、なんとも美味しいのだ。
だいたい、お握りを軽やかに握る姿をみたときから、これは美味しいにちがいないって思っていた。
 
私が、あんまりに「美味しい、美味しい」を連呼するから、笑っていた。
笑われたけれど、それは本当で、美味しいだけでなく、この朝ご飯と、朝ご飯を作ってくれた彼女と、彼女と過ごしたいろんな時間に感謝したくなるような、胸の奥底まで染み入っていく味なのだ。
 
料理上手とか、ただ美味しいとかというのとは違う味が、彼らの料理にはある。
食べるとほんとうに、「ああ、美味しい」と思わず言葉がもれ、そしてしみじみと心が温かくなる、そんな料理。
さおちゃんがお土産にもたせてくれた蒸しパンは、その晩、みんなでワインを飲んだときに食べた。干し柿は、まだ残っているので来週の山に持っていこうと思う。
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2018年2月 2日 (金)

平出和也さん SUUNTOインタビュー

登山家・映像カメラマンの平出和也さんをインタビューし、スウェーデンの時計メーカーSUUNTOのwebサイトに掲載していただいた。

平出さんは、SUUNTOという時計との出会い、山のなかで、旅先で時計とどんな付き合いをしているか。そしてこの夏のトライについても語ってくれた

彼と知り合って15年以上経つけれど、昨年は平出さんを3回インタビューする機会に恵まれた。
昨年2月、冬の八ヶ岳で久しぶりに会って一緒に登ったとき、なんて潔い人なんだろうと思った。成長、変容、成熟していく姿を、時を経て書かせてもらえることは、まったくライター冥利に尽きる。
 

記事内の写真は、平出さんのクライミングパートナーでもある 中島 健郎 さんが撮影。
以下は取材の一コマ、私が撮った写真。

SUUNTOのインタビューは
ひとつ前のインタビュー「15年目、4度目の夏、シスパーレ北東壁初登攀」については、

もうひとつ前のインタビュー「人はなぜ山に登るのか、山と対峙する試み」は、

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野外救急法×国内法

先日、早川修弁護士を迎えた勉強会「「WMA(ウィルダネス メディカル アソシエーツ)医療プロトコル」の法的な懸念についての見解」に参加してきた。
これまで、野外救急法と国内法の勉強会には早川弁護士ふくめ何度か参加していたが、今日は現段階での総仕上げとなるような内容だった。むろん、この先社会も変わるし、何がしかの判例が出てくるかもしれない。それに応じてコトは変化していくが、軸となるものは出来上がりつつある。

先般、ウィルダネス メディカル アソシエーツ ジャパンが早川弁護士の監修を受けて「「WMA医療プロトコル」についての法的な懸念についての見解」を発表したが、その裏付けとなった法的根拠、解釈の詳細、今後の展望などについて、話された。
また、法的見地からみても、医療的アドバイザーが野外救急法の団体にとって重要であることや、早川弁護士から、「今度はあなたたちです」と、我々に課せられたことなど、どれも貴重な話だった。
参加者はガイド、アウトドア愛好者、医療従事者、消防、警察、自衛隊、山岳救助隊、多国籍軍従軍者、メディアなど。北海道から屋久島まで、全国から30人が集まった。
今回は、MWAJ受講履歴のある方々が対象となったが、今後こういったトピックが、もっと広く話し合われ、検証されるようになっていくのだと思う。

2018年2月 1日 (木)

MJリンク新春ハイク+初詣

先月の21日、MJリンクの企画で新春ハイク+初詣へと、奥多摩の御岳へ出かけた。
ルートは、古里駅から歩き大塚山経由で御岳へ。
私にとっては、2010年にMJ呼びかけ人の田部井さんと故新井和也カメと取材で登った思い出のコースだった。
 
この時のことを『田部井淳子のはじめる!山ガール』に掲載した。
ある新聞記者の調査によると、「山ガール」という言葉が書籍タイトルに初めて使われたのがこの本のようで、それ以前は新聞や雑誌本文のみという。
なんで彼がそんなことをと調べたかというと、その年、「流行語大賞」にノミネートされたからだ。
結局、「山ガール」という言葉はノミネートに終わり、大賞を受賞することはなかったけれど、もし受賞していたら、表彰台に立ったのは、そのブームを牽引した人のように周囲が見ていてた田部井さんだったのか、それともこのタイトルに決めたNHK出版の編集長だったのか。
 
その年配の編集長とは、前述の山ガールの本を含め2冊を一緒に作ったが、昔気質の山ヤさんだった。そんな彼と、取材の山々をご一緒するのが、私はとっても楽しかった。そして彼が女性の登山ブームに関心を持つようになるまであちこちご一緒できたことが、いま振り返っても嬉しい。
「山ガール」というブームのトピックを取り上げながら、落ち着いた本に仕上げることができたのは、彼のような「錨」となってくれる方がいたからだと、とても感謝している。

さて、MJリンクのハイキング後は御岳神社本殿にて安全登山の祈祷をしていただいた。田部井さん不在に少し慣れてきたつもりだけれど、とても清々しい空気のなか、お榊をお供えするときは緊張した。
MJリンクの登山は、今回のハイキングで51回目。0回や4回の海外や番外編や10回のサロンなどあって、かれこれ70回近く開催してきたんだなあと振り返りました。今年は、去年以上に機会を増やしたい。
 
詳しい様子は、以下に。
・サポーターの直原郁子さんがMJリンクブログにUP
・サポーターの大久保由美子さんのfacebook
・ゲスト参加の田部井進也さんのfacebook

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2018年1月30日 (火)

言葉のアクセント

久しぶりに白馬・長野駅間のバスに乗った。新幹線を使って、東京の仕事へ向かうため。

往路、最終便1本前の便に乗ったバスでは、日本人は私を含めてふたり。もうひとりは、スキーブーツを片方だけかかえていた……なにがあったのだろう。ほかはほとんど中国人。
普通語を話す人ばかりだったけれど、おそらく北京あたりの方々か。西南や西北のアクセントに耳慣れた者にとっては、北京のアクセントを聞いても、なんだか別物のようで、彼の地での色んな時間がよみがえってくることはなく。
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2018年1月23日 (火)

ストーブの上のおでん

冬のあいだの簡単な夕ご飯は、おでん。
昼ごはんの洗い物を終えたときに、鍋に昆布を入れておく。
夕方に練り物と大根を買いに行き、鍋にいれる。
仕事机の横にあるストーブの上のやかんを、おでんの鍋に替えて、コトコト。
じわじわ時間をかければ、美味しくなる。

おでんをつまみながら、飲み屋のカウンターでの会話を
、思い出してみた。
 
「考えが浅いよね、もう少し色んなことを省みろ、と言いたい」
「男はそういう生き物なんだよ」
「アホさ加減が目について、白けるときがあるんだよね」
「しょうがないよ、アホなんだから」
そうか……異性の友人のアドバイスは、同性にはない視点がある。
一方で。
「それ、甘いね。女はもっと別のことを考えているよ」
「えっ?そうなの?」
こちらから教えられることもある、かも。
 
先日、性別による違いがテーマの根幹にある原稿を書いた。
最後まで整理できず、回りくどいことや当たり前のことしか書けなかった。
普段から、あまり性別について考えたことがなかったからかもしれない。
登山のシーンで考えると、生理学的違いは明らかにある。体力もちがう。けれどそれ以外の違いがあるのだろうか……私にはわからない。
周囲に聞いて回ると、思考や行動パターン、感情の起伏に違いがあることを指摘する人も少なくなかった。
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2018年1月22日 (月)

Missing the special sounds

「トレッキングのガイドブックある?」「いや、中野融さんの本は貸しちゃったから、いまはないなあ。地図ならあるよ」と、地図を広げ、国境付近の山並みを指さしながら。
「用事も仕事も入れちゃったから、行けないなあ」と。
 
そんな会話のあと、友人を送り出し、ネパールレストランへ。
ひとりだけ早く到着し、みんなを待つあいだ、レストランのアマとお喋り。
キッチンのなかからネパール人同士のお喋りも聞こえてきて。
大して話せるわけではないけれど、ちょっと聞き始めれば、どんどん単語が記憶の壺のなかから蘇ってくる。
ああ、こいしいなあ。
 
理由はなく、そんな風にこいしくなる土地が、地球上に幾つかある。
ネパール語を聞いて、そんなにこいしくなるのは、そこでの経験やネパールに関係したり、ネパールがきっかけになったりした大切なものが目にうつる形のあるもの、ないもの、沢山あるからなのか。いやちょっと考えてみたら、形のないものばかりだな。
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2018年1月18日 (木)

光を撮る

インタビューの原稿を書くために、テープ起こしをした文章を読んでいると、光の話が出てきた。
映像作家が語る、光の取入れ方。太陽の光、その後の月の光。
彼の言葉をそのまま書くだけでなく、私が書く地の文章も組み込んでいく。
 
太陽の光、月の光が照らしだすこの世がいかに美しく、心を打たれて、カメラを回しているのか。
彼が作った映像を見れば、そこには言葉は要らないけれど、いま書いている原稿は言葉を紡ぐ。
 
言葉の限界と、言葉だから表せられるものがどこにあるのか。
そんなことを探りながら書いていたら、ある写真家のブログが目に留まった。
お会いしたことはないけれど、その写真は何度も雑誌で拝見している。
光を追い求めて雪の山に登った彼が、月の光について、見事な文章表現をしていた。

2018年1月17日 (水)

【味噌汁日記100】

薩摩芋、えのきだけ、長葱、芹の葉。
煎りこ出汁に尾白ミソ、すりおろし生姜極々少量をぽとん。
 
孝子さんに、「100回目はなにか考えると眠れない」と言われ(笑)、(100回目を)軽くスルーするつもりが、どうしたものかと一瞬考えた。
けれど、いつも通り思いつきとあるもので。
 
そう、具材は昨晩とまったく一緒。出汁と味噌を変えてみた。日常の細(ささ)やかな彩り。
反省は、今日も生姜。甘い味に少しのパンチを効かせたい。味はヨシなのだけれど、すりおろした生姜がほんの少しだけ舌触りにひびく。これは、おろし汁を入れた方がよいということか。日常の極小さな一歩。
 
失われて初めて気づく、日常の大切さ。なんてことのない毎日を繰り返すことが、どれだけ難しいか。取り戻せない時間と何気ない日々。いつでも、だれにとっても、「いま」。
 
23年前の今日を思い起こし、そんな気持ちに。
 
以上、Instagram(mt.sumiko)で続けている【味噌汁日記】より。
 
 
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2018年1月14日 (日)

クマのタマ

12月アタマだったか、夜10時を過ぎて、渋谷駅のプラットホームを歩いていると、携帯が鳴った。叔父からだ。こんな時間になにがあったのかと心配になり、雑踏のなかであったが出てみた。
すると、いつもの間延びしたような声で(いろんな叔父がいるが、彼はちょっとトボケたユーモアの持ち主)、「澄子ちゃん、明日はまだ暖かいようだね。けれど明後日から冬がやってくるようだよ。寒くなると、叔父ちゃんも外に出るのがたいへんだからね、明日お母さん(私の母)のお見舞いに行こうと思うよ」と。
 
言葉に窮した。
80を過ぎて、自分の体調管理だって大変だろう叔父が、電車に乗って母の見舞いに来てくれる。叔父の家と最寄り駅まで10分、電車が小一時間、こちらは電車を降りた後にバスと歩きが待っている。けっして近くない。
しかもそのために、気候を見計らってくれていたのだ。昨日今日考えたことでもなく、ずっと叔父は母のことを気にしてくれていた。
叔父の家の隣には、彼の兄、つまり母の兄家族も住んでいる。こちらは90歳近い。
それでも、時折、電車に乗って母に会いに来てくれる。
兄、母、弟と3人きょうだい。ひとりの女きょうだいの身を、心底心配してくれているよう。
以前、足元悪いところ来てくれることを申し訳なく思っているというようなことを、兄である叔父に話したところ、「妹のことなんだから、当然だ」と言っていた。
 
今回の叔父の電話には、返す言葉が見つからないあまり思わず、「叔父ちゃん、私はね、仕事柄でもあるけれど、毎日天気図や天気予報を何度も見ているんだよ。その通りだよ。明日はまだ暖かいけれど、明後日から寒くなるよ。だから、お大事にしてね」と素っ頓狂なことを返してしまった。
 
年が明けて、母の部屋から、弟である叔父に電話をした。
年末の母の誕生日に着信があったけれど、私が出られなかったからだ。
異国に住む従妹が帰国していて、彼女の明るい声が電話口に響いた。
叔父に代わってもらうと、こんどは、母の病気によいだろう療法をテレビでやっていたと話し始めた。それについて書かれている本もあるから、探してみてと。
 
先日、正月休みを終えて帰国した従妹から、今度はLINEが。
父親が頓珍漢なコトを言ったかもしれないけれど、気にしないでね。父が誰かを心配して電話するなんて、初めて見たよと。
 
いろんなことへの理解が難しくなってきた母であるけれど、兄弟の声を聞くと嬉しそう。そんな彼女の顔を見ていると、「肉親」という言葉が浮かんでくる。まさに「血肉を共にした者同士」。肉親は、やっぱり肉親なのだと。
年老いて、それぞれがたいへんであっても、こうやって思ってもらえるのはありがたいことだと、しみじみし。そして、兄弟姉妹の愛情というのは、そんなにも強いものなのかと、兄弟姉妹を知らない私は、羨ましくも思ったり。
 
母の部屋を出る前に、枕元のタマを手にとり、「相変わらず、首が座っていないというか首がちぎれそうだわ。タマはクマなのに、なんでタマと名付けたんだろう、私は」と思っていると。
「タマをもっていかないでよ」と。幼少の頃、ずっと私が抱いていたぬいぐるみは、いまは母の枕元に。
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2018年1月12日 (金)

読了、本を読むスピード

打ち合わせと打ち合わせのあいだの時間つぶしの喫茶店にて、読了。
昨年末から読み始めたから、随分時間がかかった。
愉しい本で、早く読み進めたい気持ちがはやるなか、もったいなくて、中断してはほかの本に浮気していた。
どんどん読みたくて、湯船にも枕元にも持っていき読み続ける本もあれば、ちょっと置いておく本もある。

自宅での読書は、居間か湯船か枕元。湯船に持ち込む本は、くしゃくしゃになってもいいなって思う文庫本がほとんど。繰り返し読んだものを、もう一度だけ読んで廃棄する前とか。
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湯たんぽ

暮れに、湯たんぽを買った。
 
雪国や同じ東京都でもちょっと寒い地域(奥多摩)の友人宅に泊まることが、少なくない。
そのうちのひとりの友人が、外国の友人に「家のなかは寒い(大きな日本家屋だし、隙間風もあるし)。ダウンを着ている」と言ったら、「灯油を買うお金もないのか」と心配されたというが、そういうわけでもない。
 
家のなかでダウンを着ている友人、友人宅って、私の周りでは案外多い。
そんな家に、冬に泊まったとき。
友人の家にある湯たんぽのうち、いい方を私に貸してくれたり、いつまでも私が寝る部屋のストーブを焚いてくれたりするけれど。
湯たんぽを借りるのも悪いし、そんなに暖房費をかけるのも忍びない。
ということで、買ってみた。
つまり、泊まり先によっては、これを持参するのである。
この冬、東京の自宅のエアコンは入れないことに決めているので、自宅でも役立っている。
ストーブはまだ一度も使っていない。
 
陶器でできていて、寝る少し前に熱湯を入れて、インドで使っていた薄手の毛布に包んで、お布団のなかに入れておく。
ポカポカだ。
朝起きてから、湯たんぽのお湯を洗面器に注いで、顔を洗う。ネパールの山の中では毎日やっていること。湯たんぽがナルゲンボトルで、お布団ではなくシュラフのことも多いけれど。
なかなか快適で、この生活も気に入っている。
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«開き直りとも、諦めとも違う

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    現在、MJリンクのサポーターやテントむし山旅プロジェクトbyAdventureDivasのガイドなどで活動しておりますが、このほかに個人ガイドをご希望の方は、下記「メール送信」をクリックの上、お問い合わせください。内容など、ご相談の上、実施したいと思います。

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